本文へスキップします。

フリーワード検索 検索

【全】ヘッタリンク
【全・SP】バーガーリンク
さぶたいとる

APRC Conference 2021(2021.11.18)
開催報告

コロナ後のアジア:「ロックダウンの世界を越えて」
 ― APRC総会で新会長を選出し、カンファレンス2021を開催


本文

報告: JIS認証支援センター 一ノ瀬 裕幸

JMRAが参画しているAPRC(Asia Pacific Research Committee:アジア太平洋地域の市場調査協会連合組織)では、11月17日に開催された年次総会で新会長にJungyul Yang氏(Kantar韓国CEO)を選出し、翌18日にはタイ市場調査協会(TMRS)との共催でカンファレンス2021をZoomウェビナー形式で実施しました。
カンファレンスでは、コロナ禍の約2年の間に経験した困難から、消費者や環境の変化に対応し、たくましく復活を目指す各国の取り組みが紹介・交流されました。

● APRC総会(11/17)
今年の総会(Summit Meeting)には、日本、中国、韓国、豪州、台湾、ニュージーランド、マレーシア、タイ、モンゴルの9カ国から、計18名の代表が参加しました(シンガポールは欠席)。 また、英国市場調査協会(MRS)からサステナビリティに関するビデオメッセージが寄せられ、市場調査協会の国際的連合組織であるGRBNからの活動報告も行われました。
参加国の報告の中では、中国で上場企業が2社誕生したこと、モンゴルでISO 20252の認証取得社が2社となったこと、ニュージーランドで面接(F to F)調査が復活しつつあることなどが関心を呼んでいました。 また、2期4年にわたって会長を務められた中国(CMRA)のAndy Zhao氏が退任され、以下の執行部の方々を選出しました。
  • 会  長:Mr. Jungyul Yang 韓国KORA(新)
  • 副会長 :内田 俊一 日本JMRA(再)
  •  〃  :Mr. Peter Harris 豪州TRS(再)
  •  〃  :Ms. Chung Ling Huh 台湾CMRS(新)
  • 財務担当:Ms. Winifred Henderson  ニュージーランドRANZ(新)
  • 事務局長:Ms. Elissa Molloy 豪州(再)

APRC新会長 Jungyul Yang氏(Kantar韓国CEO)


コロナの動向にもよりますが、来年(2022年)の総会&カンファレンスは韓国KORAの創立30周年に合わせてソウルで(できれば対面式で)実施することが確認されました。また、2023年の開催地にはモンゴルが名乗りを上げています。

● APRCカンファレンス2021(11/18)

翌18日に実施されたカンファレンス2021では、Andy Zhao氏とTMRS会長のGrant Bertoli氏の挨拶に続き、以下の方々から約30分ずつの発表が行われました。

「コロナ時代のキャンペーン展開」 Mr. Nirman Nair(日産自動車アジア太平洋)
「パンデミック期間のマジック創造」 Mr. Eddie Chien(上海ディズニー)
「協力vs競争、真のパワフルな勝利」 Ms. Orm Anantachai(インテージ・タイ)
「リアル・マジック:コロナ時代のキャンペーン」 Mr. Noon Pratik Thakar(コカ・コーラ)

これらのプレゼンテーションを通じて、コロナ禍に突入してからの約2年間の奮闘の経験から、「コラボレーション」または「統合」といったキーワードの重要性が訴えられました。それは「従来にはなかったデータの統合」とか、「ライバル企業同士のコラボの試み」、「世代間のコネクション」といった言葉で表現されていましたが、従来の常識にとらわれず、既存の枠組みやスタイルを越えた連携の取り組みに活路を見いだそうとしていたことがうかがえました。

また、TMRS役員のDavid McCaughan氏の司会で、タイのタマサート大学、Facebook、LINE、Wisesight(ソーシャルメディア分析企業)各社の代表によるパネルディスカッション「コロナ期間中に学んだ2022年に向けたインサイト」が行われました。ここでは、「ギャップ」がキーワードであったと思われます。特にコロナ禍における「世代間ギャップの拡大」が共通して語られ、世代ごとの価値観(とその変化)の違いに着目すべきとの議論が印象に残りました。各社ともタイに限らずASEAN各国の市場情報を得ており、特に「Z世代」と呼ばれる若者の動向に注目しているとのことでした。

アジア太平洋地域でも、一部の国ではコロナ感染が再拡大しているところがあるのですが、総じて(いったん)コロナ対応の波が落ち着いた感があり、どのように「ニューノーマル」に適合していくかが課題となっています。会議の基調としては割と楽観的で、「以前よりも、よりよく対応していけるのではないか」という前向きなニュアンスが支配的であったと思われます。

日本も第6波への警戒を維持する必要があるとはいえ、「コロナ後(またはウィズコロナ)」の経済活動は回復に向かっていると考えてよいでしょう。どの国も、「完全にコロナ前に戻ることはない」という基本認識では共通していました。インサイト産業の名にふさわしく、消費者の変化とニーズを見きわめる活動を通じ、新しい時代へと乗り出す動きがアジア各国で始まっています。

> カンファレンスの録画視聴はこちら

 

以上

2021.11.25掲載