本文へスキップします。

フリーワード検索 検索

【全】ヘッタリンク
【全・SP】バーガーリンク
たいとる

Withコロナ時代に向けたリサーチ業界の準備 第20回

さぶたいとる

インサイト業界のダイバーシティ&インクルージョン

ほんぶん

JMRAインターネット調査品質委員
リサーチ・コンサルタント
岸田 典子


インサイト業界のダイバーシティ&インクルージョン

JMRAで活動を開始した「インサイト部」の中にある「業界のダイバーシティを推進する部屋」(仮)は活動を開始したばかりの4番目の部屋です。業界のダイバーシティ&インクルージョンについて一緒に考えていきませんか。

ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)

文化、出身国、民族、人種、言語、男女差、年齢差、障がいの有無、性的自認や性的マイノリティ、メンタルヘルスなどあらゆるジャンルにおいてダイバーシティ(多様性)を受け入れてゆくことが重要とされています。また、単に多様なバックグラウンドをもつ人々がそこにいるというだけではなく、その違いを理由に差別されたり不利益を被ったりすることがなく、チームの一員として認められ、受け入れられていると感じられることをインクルージョン(包括性)といいます。ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)は、セットでなくてはいけません。
ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包括性)の施策には、「女性の活躍推進」「外国人雇用の促進」「高齢者の活用」「障害者の活躍推進」「LGBTへの理解促進」などのように属性によって不利益を被らないこと、また「時短勤務、在宅勤務など多様な働き方制度の整備」「妊娠・出産・子育てしやすい職場環境や制度づくり」「介護と仕事を両立できる制度づくり」といった働き方の多様性も含まれます。

ダイバーシティ&インクルージョンの社会的背景

なぜ、ダイバーシティ&インクルージョンがこのように声高に言われるようになってきたのでしょうか。
日本では少子高齢化によって労働人口が減少し、企業は、従来のような男性中心で終身雇用・定年制を基本とした雇用方針を転換し、女性の雇用や活躍の場を拡大したり、定年の延長や再雇用によって高齢者の経験と能力を活かしたり、外国人を積極的に受け入れるなどの取り組みが広まっています。ダイバーシティ&インクルージョンは今後の日本企業の成長にとって重要な経営戦略でもあります。
また、テクノロジーや産業構造の社会変化を迎える中で、組織のあり方も多様な力を結集したチームワークへと変化を迫られており、生き方や考え方の多様性を認め、受け入れる共生社会に向けて社会全体が動き出しています。

性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・性的指向といった違いを「その人がもつ個性」と捉え、それぞれの個性を尊重し、組織の強みとなるよう生かすことが、個人と組織の持続的成長につながると考えられています。デジタル社会のトップ企業では、ダイバーシティは、イノベーションの源泉であり、成長エンジンだと捉えられています。日本から世界に伸びてゆく組織づくりやグローバル社会でのリーダーシップを発揮する人材を育てるためにも、ダイバーシティへの対応は必須といえます。

知の総合力へ

これまで日本企業は、均質性の高い組織で団結力を強みとしてきました。それは奇跡と言われた戦後の復興を遂げた日本の強みでもあるため、そこでの常識的価値観から変革する意志を奮い起こすのは、少し難しいのかもしれません。しかし昔ながらの男性優位の硬直化した昭和の価値観では、今後、企業が生き残ることはが難しいのです。同様に真面目で脇目もふらず言われたことをやるタイプのリサーチャーも、生き残ることは難しいでしょう。社会の変化に目を向けるべきです。
凝縮性の高い組織は負の側面が現れると同質化が進み、内向きに閉じ、派閥化しがちです。不確実性の高い社会状況に適応するには、開かれた対話による多様な「知の総合力」が不可欠となりますが、閉じられた共同体にはそれを生み出すことはできません。ダイバーシティ&インクルージョンはこれを突破する力になります。
例えば、世界経済フォーラム(WEF)の2021年「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」では、世界153カ国が対象の中、日本は120位。「政治的エンパワーメント」「経済的参加度および機会」、男女の賃金格差も大きいままです。機会は均等に見えても、雇用や昇進モデルが、男性に歩のある出来レースになっているという側面はないでしょうか。パワーのある人は、パワーをもたない人のことに気づかないものです。内発的な動機づけがないところでは変革は起きません。

JMRAオンラインコミュニティ「インサイト」部 「業界のダイバーシティを推進する部屋」(仮)

JMRAで、活動を開始した「インサイト部」は、11月10日に開設記念オンラインイベントが開催されました。
「業界のダイバーシティを推進する部屋」(仮)は活動を開始したばかりの4番目の部ですが、2022年2月にオンラインイベントを予定しています。当初はこのコラムの第15回でもご紹介したWIRe(WOMEN IN RESEARCH)という業界の女性へのエンパーメントの会を想定していましたが、もっと女性だけでない幅広い活動として、日本の業界の現状に対して活動してゆこうということになりました。
男女問わず、ぜひ多くのみなさんに楽しく参加していただければと思います。

「リサーチ・インサイト業界の女性のための組織 WIRe」とは
https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/international/education/20210610.html

グローバルDEI調査

JMRAが会員となっているグローバルの市場調査業界団体であるGRBN(Global Research Business Network)では、日本を含む世界13カ国でDEI調査(Diversity, Equality & Inclusion)が行われました。
「ダイバーシティ(多様性)・イクオリティ(平等性)・インクルージョン(包括性)調査」に関するオンライン調査で業界のリサーチャー向けと一般市民向けに行われ、市場調査業界の現状と課題、一般市民の認識との差異等について分析されます。
11月10日に回答の受付が終了しました。実施や回答ご協力くださったみなさま、大変ありがとうございました。どのような結果になるのか楽しみにしていてください。

JMRA: GRBN「多様性・平等性・包括性調査」へのご協力のお願い(受付は終了しました)
https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/international/20211010.html

2021.11.16掲載