1991平成3年
第1回「アニュアル・シンポジウム」開催
一つのテーマで討論するシンポジウム形式では初となるイベントが、1991(平成3)年5月に東京都千代田区の「如水会館」で開催された。この第1回「アニュアル・シンポジウム」では「企業と消費者の新たなモノサシ」というテーマが掲げられた。これは当時マーケティング分野で注目されていた“顧客満足”(商品やサービスを利用した顧客が満足した度合いを示す指標)にアプローチする狙いがあった。顧客満足は英語Customer Satisfactionの頭文字から「CS」と呼ばれ、当時のマーケティング分野を席巻していたが、これを市場に関わる3者の視点から捉えようとしたのが本シンポジウムである。
そのためメーカーから日産自動車(株)、消費者の立場から全国消費者団体連絡会、マーケター・リサーチャーから(株)日経リサーチの代表者がまず講演を行った。メーカー視点では、顧客満足に注目する理由とその測定方法、今後の活動への活かし方が説明され、消費者目線では、消費者の変化と企業への要望についての話があり、マーケター・リサーチャーの見地からは、企業イメージ調査からみた企業好感度とその変化、顧客満足の観点からの企業好感度について発表された。講演終了後のパネルディスカッションでは講演内容を掘り下げる質疑応答が行われ、全体で1時間15分という時間制限のなか貴重な意見が聞かれた。本企画は、JMRAの会員社がマーケティング上のテーマについて共に話し合う場を提供すると同時に、企業と消費者をつなぐマーケティング・リサーチの役割を実際のネットワークづくりに役立てる意図もあった。