1999平成11年
「プライバシーマーク付与指定機関」として、(財)日本情報処理開発協会より認定される
1980(昭和55)年、OECD(経済協力開発機構)は「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告」を採択し、収集の目的を明らかにしデータ利用はその目的に合致すべきとする「目的明確化の原則」や、データ主体の同意がある場合や法律の規定がある場合以外は、目的以外に使用してはならないという「利用制限の原則」をはじめ8原則を記した。これが日本の個人情報保護体制に影響を与え、法整備などの動きが徐々に出始めていく。
その具体的な一歩となったのが当時の通商産業省による1997(平成9)年の「民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン」発表である。既にデータベースとして電算機で大量の個人情報を扱う時代に突入しており、それをいかに扱うかが課題となっていたのである。
[プライバシーマーク制度がスタート]
これを契機に1998(平成10)年、事業者の個人情報を取り扱う仕組みと運用が適切である証しとして「プライバシーマーク(Pマーク)制度」がスタートする。制度構築にあたって通産省が声をかけたのが(財)日本情報処理開発協会(JIPDEC、現一般財団法人日本情報経済社会推進協会)・(社)全国学習塾協会・(社)情報サービス産業協会、これにJMRAを加えた4団体であった。当初からJIPDECはPマークの付与を認定する唯一の機関という役割が与えられ、JMRAを含む3団体はPマークの審査代行のために指定された審査機関という位置付けが決められていた。そうした経緯から翌1999(平成11)年、JMRAはJIPDECより「プライバシーマーク付与指定機関」として認定を受けたのである。発足以前から倫理綱領委員会を設立し調査対象者の個人情報保護を最も重視して活動していたJMRAの実績が、Pマーク制度に関わるのにふさわしいと認められ参画につながったとされる。
当初は正式な審査ルールやチェックリストがなく、前述した通産省のガイドラインだけを手がかりにJIPDEC含む4団体が共同歩調で歩み出した。作業スピードも求められていたため、審査方法や運営方法の細部は基本的には各団体が独自に進めることが許された。ただ同時進行でJIPDECもチェックリストや運用上のルールを整え、徐々にPマークを付与する機関として運用体制を整備していった。JMRAは、それらを基本にマーケティング・リサーチ業界向けにアレンジして、より使いやすさを高めて業務にあたっていた。
現在、JMRA加盟調査会社の8割近くがPマークを取得している。またJPX(日本取引所グループ)上場企業においても約2割が取得しており、個人情報を適切に処理している証しとして円滑な上場審査につながる効果も認められている。