2006平成18年
「住民基本台帳法」改正、マーケティング・リサーチでの住民基本台帳の閲覧が禁止となる
住民基本台帳が、統計づくりにおいて最も精度が高く信頼の置けるサンプリングフレームであることは言うまでもない。しかしJMRA発足直後から、既に各自治体での閲覧制限への危惧は高まっていた。その背景には、本台帳から名簿作成し販売する一部事業者の違反行動や本台帳を外部に持ち出し撮影するなどのマナー劣化があった。そうした悪質行為が長年放置されていた上に、2005(平成17)年にプライバシーに対する国民の不安から全面施行された「個人情報保護法」の影響も大きく、2006(平成18)年11月の「住民基本台帳法」の改正による住民基本台帳の原則非公開に結び付いてしまう。
この改正によって、本台帳が閲覧できるのは、国や地方公共団体が法令の定める事務を行う場合、統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究のうち公益性が高い場合、公共的団体が行う地域住民の福祉向上に寄与する公益性が高い活動に限られることとなり、マーケティング・リサーチでの閲覧は禁止された。JMRAでは同年、当時の会長が衆議院総務委員会にて参考人として意見陳述を行った。また前年の2005(平成17)年には「住民基本台帳法改正問題に関する要望書」を提出、さらに「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書(素案)」に対する意見陳述も行っている。こうした一連の主張を通じてJMRAは、住民基本台帳の精度への信頼性とその閲覧が不可欠なこと、これまで調査対象者のプライバシーを守り「マーケティング・リサーチ産業における個人情報保護ガイドライン」を制定して「個人情報保護法」に沿った業務を行ってきた旨を伝えたが、閲覧禁止の流れを止めることはできなかった。
この改正を機にマーケティング・リサーチは、募集した人の許諾を得て継続的に調査協力者とする「アクセスパネル」を使ったインターネット調査への移行が顕著になった。