2006平成18年
「インターネット調査に関する品質保証ガイドライン」発表
2017(平成29)年「インターネット調査品質ガイドライン」発表
2020(令和2)年「インターネット調査品質ガイドライン」第2版発表
インターネット調査が始まったのは2000(平成12)年ごろ、マーケティング・リサーチを経験しない会社が、調査対象者をインターネットで募集する仕組みを備えた調査システムにより参入してきた。参入各社がセミナーを開催して集客していたのに対しJMRAは、一定の品質に沿ったガイドラインを提示し、ルールにのっとったインターネット調査を呼びかける目的で2006(平成18)年に「インターネット調査に関する品質保証ガイドライン」を作成した。また依頼する側の企業担当者にも調査品質を意識してもらう狙いもあった。
内容は、ESOMAR(ヨーロッパ世論・市場調査協会)の「インターネット調査ガイドライン」や各国のガイドラインを参考に日本の状況を踏まえて編集され「アクセスパネルの構築」などインターネット調査の正しい手順がまとめられた。これを機にJMRAへの入会が進んだが、その背景には会員社としてガイドラインを順守した調査を行っている安心感を顧客に与えられるメリットもあった。
[スマートフォンによる回答が5割を超える]
安価で大量に短期間で行える点が評価され、2010(平成22)年頃よりマーケティング・リサーチの手法は、インターネット調査を使わざるを得ない状況になっていた。そのなかでコストを維持したまま質問数を増やすという調査協力者を無視した営業が目立ち始めた。また2018(平成30)年にはスマートフォンによる回答が5割を超えるなかで、パソコン向けの調査票ではなくスマートフォンで回答しやすい調査票への移行を喚起する必要もあった。それを行わない限り、協力率の低下や回答品質の低下を招く危惧があったのである。こうした状況下で、2016(平成28)年に設立された「インターネット調査品質小委員会」が中心となり、2017(平成29)年に新たなガイドラインが発表された。その基本方針の第一には「調査協力者を大切にする」が挙げられている。
2020(令和2)年に第2版が発表されるが、この3年間に調査会社各社は自主調査を進めていた。そこで「質問数が増えると離脱率が増える」「選択肢が多いと全部が見られない」などの傾向が検証データで裏付けられていた。このときJMRAが、インターネット調査の品質向上のため社外秘でもある各社のデータを集約しガイドラインに反映する呼びかけを行うと、快諾が得られたのである。こうして第2版では、マルチデバイスで回答できる調査票の条件がエビデンスをもって提示された。
人々の可処分時間が限られるなかで、スマートフォンの画面がインターネット調査に使われるためのハードルは年々高くなっている。そこで「今まで以上に回答負荷が高いアンケートは控えるか謝礼を高くする」などの視点を反映した次のガイドラインも検討されている。その先に“コスパ・タイパ”も考えた魅力あるマーケティング・リサーチの実現がある。