2020令和2年
「新型コロナウイルス感染症対策に関する会員社へのお願い」発表
2020(令和2)年4月7日、当時の安倍首相は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に初めて「緊急事態宣言」を発出し、同年5月にかけて全47都道府県が同宣言の対象区域となった。
JMRAは、これに先立つ同年2月に「〈至急〉新型コロナウイルス感染症対策に関する会員社へのお願い」と題したメールマガジンを配信しWEBサイトで発表している。「可能な限り時差出勤や在宅勤務を勧める」などの従業員への対応、「対面式での調査は極力避けていただきオンライン手法等へのシフトをご検討いただく」などのお客さまへの対応、「事前に調査協力者様への体調確認や渡航履歴などの確認をさせていただき、体調がすぐれない場合にはご来場をお控えいただく」などのモニターさま、調査協力者さまへの対応の3点で協力へのお願いを行った。
[新型コロナウイルス禍でリサーチ手法が全滅]
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、マーケティング・リサーチでは対面型の調査が全滅し、飲食を伴う会場テスト、声かけを行うストリートキャッチも全滅した。グループインタビューはオンライン化したが、司会を務めるモデレーターもオンラインでの経験がないため、画面からでは細かな表情が分からず苦慮した。そこでオンライン定性調査における最低限の品質を担保するための注意事項をまとめた「オンライン定性調査ファーストステップガイド」が2021(令和3)年5月に発行された。
一方、在宅でインタビューを行うことで、「冷蔵庫にあるモノを持ってきてください」という指示が可能になるなど思わぬ発見があったのもこの感染期である。
19都道府県の「緊急事態宣言」および8県の「まん延防止等重点措置」の全てが解除されたのが2021(令和3)年9月、2023(令和5)年5月には「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」から「5類感染症」に変更されている。こうして感染リスクが低減するなか、東京・大阪などのグループインタビューを中心に2022(令和4)年から対面型に徐々に戻っていった。会員社の勤務形態もリモートワークから週1日~2日への出社に移行してきたのも同年からである。一方で会場テストの調査協力者の募集方法が、モニター経験者をスクリーニングし来場してもらう方式に変わるなど、新型コロナウイルス禍は調査手法にも影響を残すこととなった。