2020令和2年
「セーフティネット保証5号」の指定業種に「3923 市場・世論・社会調査業」が追加
新型コロナウイルス感染症の猛威は、マーケティング・リサーチ業界の経営にも深刻な影響を与えた。2020(令和2)年4~6月のJMRA会員社の売上高は、中小規模層に限ると前年比44%減の大幅な落ち込みとなり、大手を含めても10%減となった。2020年度全体では、中小規模層限定で前年比20%減、大手を含めると2.7%減となった。
2020年の「セーフティネット保証5号」は、全国的に業況の悪化している業種に属し、経営の安定に支障が生じている中小企業への資金供給を円滑化するため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度である。対象となる条件は「最近3カ⽉間の売上⾼などが前年同期⽐で5%以上減少している」と、もう一つは製品製造を行う業種に条件が課されている。同年、本制度の指定業種に「3923 市場・世論・社会調査業(日本標準産業分類)」が追加された。これは経済産業省を通じてJMRAが本制度の適用申請を行ったことによる。
当時は、前年同月比売上高が50%以上減少した中小法人や個人事業者に対する「持続化給付金」をはじめ、日本政策金融公庫の融資拡充など政府挙げての中小企業支援が行われたこともあり、会員社での倒産は起きていない。しかし、マーケティング・リサーチのオンラインへの移行は、システム投資ができない中小規模の会員社を直撃した。後継者不足も相まって2024(令和6)年には3社が倒産するなど、新型コロナウイルス禍が会員社の選別を進めたことは否めない。