2022令和4年

ESOMAR提唱による「インサイト産業」の拡大推計を発表

ESOMARの国際業界統計である「Global Market Research 2020(GMR2020)」は、2020(令和2)年にマーケティング・リサーチを新たに定義した。新たな領域としてデジタルデータ分析・ソーシャルリスニングコミュニティー(ソーシャルメディアとオンラインコミュニティーの情報活用)・企業内フィードバックシステム(従業員や関係者からの情報収集)・DIY型調査プラットフォーム(顧客による調査内製化)が示され、世界市場の規模を前年比2倍に一気に拡大させた。売上高による企業ランキングも様変わりして日本のマーケティング・リサーチ業界に衝撃が走った。

JMRAはこれまで発表してきた「経営業務実態調査」の付帯報告として、2022(令和4)年にESOMARの新定義に即した日本の市場規模を速報版として発表。2023(令和5)年に第1回の「日本のインサイト産業市場規模拡大推計(2021~2022年)」、2024(令和6)年に第2回の「日本のインサイト産業市場規模拡大推計(2022~2023年)」を発表してきた。

ESOMARの新定義に衝撃を受けたのは事実ながら、一方で新たに世界のスタンダードとなる「インサイト産業」の枠組みに合わせて変革してゆくという使命感も生まれていた。「インサイト産業」とは、さまざまなデータを収集・分析し、インサイト(消費者の購買行動の根底にある動機)を見つけて顧客に届ける産業と定義される。欧米では、クライアントのマーケティング部門と緊密に連携して、調査会社が人材をパッケージで派遣するサービスも提供しつつマーケティング・リサーチの課題に取り組んでいる。日本の現状から、直ちにそうした体制を組むのは難しいが、少なくともデータを収集・加工・分析するスキルを高め、マーケティングのコンサルタントとしての機能を確立させ、施策の提案までを行う機能が今後求められるであろう。