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タイトル

    第一回【売れるパッケージデザイン150の鉄則・
    デザインを調査でどう評価すべきか~リサーチとデザインのいい関係を考える】

    株式会社プラグ代表取締役社長 小川亮氏

しりょう

JMRA・広報セミナー委員会
多様なるマーケティング・リサーチの新潮流に触れる著者が語るシリーズ2023
第1回2023年6月30日 開催レポート

統計調査センター株式会社 林美和子


昨年度、好評をいただいた「著者が語るシリーズ」の2023年度第1回目にご登壇いただいたのは、株式会社・プラグ 代表取締役 小川亮氏です。
小川氏はマーケテイング分野出身でMBAを取得され、父上の後を継いでリサーチ会社の経営者になり、日本パッケージデザイン協会の理事長、さらにJMRAの理事も務められています。
一見相容れない、感性を主張するデザインと、理論に拘る市場調査の実務を経験されて、双方を共存させることで企業の成長を目指されています。(著書・会社を成長させるデザイン)

マーケティング領域でのデザインは「ビジュアルデザイン」「プロダクトデザイン」「スペースデザイン」があり、カタチにして本質を可視化することがコミュニケーションの効率化、体感の変化(例: MRIの音の恐怖を視覚から入るザインによって緩和する等)に役立っています。
最近はカタチにしたデザインからスタートするデザイン思考が注目されていますが、この場合のデザインは一秒で正確に意図を伝える、端的である等、高い完成度が求められていて、安易にデザイン思考を導入することでのリスクも述べられていました。

パッケージデザインの評価項目として「目立つ」「らしい」「コンセプトが伝わる」「ブランドとしてのアイデンティティー」「見る側の経験価値」があり、評価データだけでなくブランドの特性や送り手の意志、向かう方向が判断基準の要因になります。例えば、リピートの場合は目立つことの必要性は低く、過去の資産があるブランドのリニューアルは「経験価値」が重視されるように、担当者が都度、目的と意志を持ってリサーチデータを視て判断しています。好感度や購入意向の高いものが捨てられないというリサーチャーにありがちな習性は捨てなければいけません。
いくつかの特徴的なブランドのパッケージデザインのリニューアル例が提示されましたが、各ブランドの意志(VisionやConcept)や資産を優先したデザインを取り入れたブランドの成功、時代の流行に乗ったり、人気のありそうなデザインは失敗という実例が明確に出ていました。

小川氏が目指す、リサーチとデザインのいい関係に関して、リサーチ思考は単純化、掛け算、MECE(もれなく)、デザインに関わるデザイナー思考は、フレーム外、理に適った新しい解決策、次々に面白いことをと両者は対極にありますが、歩み寄りや迎合ではなく、お互いに認め合うことで豊かなマーケティング活動が成立する可能性はイノベーションが求められているリサーチ業界への価値あるアドバイスとして受け止めました。

2023.7.18掲載