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たいとる

インターネット調査品質委員会

メッセージ

ないよう

インターネット調査品質委員会 村上 智章


●成熟期に入ったインターネット調査

新型コロナウイルスが5類感染症への移行したことによって、人々の活動や消費行動が再び活性化の道を歩み始めています。コロナ禍では定性調査はオンラインでのインタビュー調査への切り替えを強いられていましたが、現在は対面での調査が復活してきています。

一方で、調査対象者との直接的接触を必要としないインターネット調査は、コロナ禍を問わず実施できる特性を持ちながら、その立場も微妙に変化しています。2023年6月にJMRAから発表された「第48回経営実態調査」の報告書※1によれば、アドホック調査におけるインターネット調査(モバイル含む)の売上高構成比は55.1%となり、最大のシェアを占めていますが、過去2年連続でその数値は微減しています。発電における火力や水力・原子力・再生エネルギーなどの手法を組み合わせたベストミックスがあるように、市場調査業界における調査手法もベストミックスな状態に近づいているのかもしれません。

2000年以降、急激にシェアを増やしてきたインターネット調査は、その成長期を一段落し、新たなステージへと進む必要性に直面しています。今後はインサイト産業のボーダレス化が進行する中で、「量」の拡大から「質」の強化に重点を置くことが競争力優位性の鍵となることでしょう。YouTubeの長時間動画の再生回数減少などを見ると、若年層が「コスパ(コストパフォーマンス)」よりも「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する傾向が強まっています。この現象をインターネット調査に置き換えて考えてみると、回答負荷が大きな調査は避けられたり、回答者が効率的に時間を使おうとすることで、回答の「質」が低下してしまったりする可能性があります。そのため、既存のやり方に固執するのではなく、短時間の調査と行動ログやSNS上のクチコミを組み合わせるなど、クライアントが求めているインサイトを的確に提供する新たなアプローチが求められていると言えます。

インターネット調査は定性調査のリクルーティングにも使われており、調査業界の基盤とも言える存在です。当委員会では、「調査品質」を名に冠するように、インターネット調査の品質向上に努める活動を続けて参ります。

※1 JMRA経営業務実態調査(https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/)

掲載日
2023.8.22