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日本行動計量学会大会のラウンドテーブルに参加(2019.09.04)

ないよう

報告:インターネット調査品質委員会委員長 村上智章


 インターネット調査品質委員会は9月3日~9月6日に開催された日本行動計量学会大会に参加してきました。当委員会からは選択肢を分割して複数グループに聴取することによる回答品質の効果検証の研究成果と、JMRAアニュアル・カンファレンス2019でも講演した「ポスト平成のインターネット調査」を発表し、参加者と共に討議しました。

■日本行動計量学会第47回大会 発表報告

 インターネット調査品質委員会が提案した内容がラウンドテーブルに採択されました。ラウンドテーブルとは、特定のテーマに関する発表を行い、登壇者と参加者が一体となって討議を行うセッションのことです。
 我々が企画したラウンドテーブルのタイトルは、「スマートフォン時代のインターネット調査 ―回答品質を高めるために―」でした。朝早くのセッションでしたが、インターネット調査に関心の高い研究者や報道機関、民間企業の方々など、約30名に参加していただきました。


発表1:インターネット調査における選択肢の分割聴取による効果検証

 (株)インテージの加藤氏からは選択肢を分割したときの効果検証を発表していただきました。これは回答者1人が回答する選択肢が50個の調査票、20個の調査票、10個の調査票のときに回答品質を比較した検証です。20個、10個の調査票は実験計画により選択肢の組み合わせが異なる複数パターンを用意して50個すべての選択肢について把握できるようにしました。
 当然のことながら、選択肢が少ないほど回答所要時間が短くなるとともに、回答者の心理的なストレスも軽減されました。また、選択肢が増えるほど、調査票の後半で反応個数が低下する傾向が見られました。
 なかなかこのような比較実験をする機会は少ないので、選択肢が多すぎる調査票は回答品質が低下している事実を認識していただける貴重な発表だったと思います。 

発表2:ポスト平成のインターネット調査
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デジタルライフの変化と世代差から考えるこれからのリサーチ

 (株)クロス・マーケティングの岸田氏からはJMRAアニュアル・カンファレンス2019のミニセミナーで講演した「ポスト平成のインターネット調査」を再構成した内容を発表していただきました。
 平成時代に通信環境が大きく変わり、調査手法としてもインターネット調査が普及しました。しかしながら世代によって、インターネットを使い始めたライフステージが違います。どの世代の方もスマートフォンを保有するようになってきていますが、世代によってスマートフォンの使い方や操作スピードが異なります。
 発表の中で、高校生とシニア層の文字入力速度を比較した動画を上映することで、一概に若者=短時間回答だからいい加減な回答をしているとは言えないことを理解していただきました。
 これまでの調査研究では知ることがなかった「インターネット調査」を回答する人の心理状況を参加者の皆様に伝えることができたのではないかと思います。

ラウンドテーブルを企画してみて
 多くのネットモニターがスマートフォンでインターネット調査を回答する状況になっていること、マトリクス設問が回答者のモチベーションを低下させていることを理解していただけたことだけでも、ラウンドテーブルを企画したことに十分な意義がありました。
 学術研究においても、心理測定において多くのマトリクス設問が使われていることがありますが、マトリクス設問は必要最小限に留め、なるべく回避していただけるようになることを期待しています。
 調査会社が回答品質の高いインターネット調査を提供し続けていくためには、より多くの理解者・賛同者を増やしていかなければなりません。今後もインターネット調査品質委員会では、委員会活動の成果を様々な場や媒体を通じて発信してまいります。