2022年1月1日

一般社団法人　日本マーケティング・リサーチ協会
会長　内田　俊一

あけましておめでとうございます。

年末時点では、新型コロナウイルス感染症は、ほぼ抑え込まれているように見えましたが、世界中で強力な感染力により広がりを見せているオミクロン株の日本上陸により、帰省や旅行計画にも慎重になった人が多かったようです。
多くの国で、新型コロナウイルス感染症との共存・経済活動再開への舵が切られていますが、ワクチンの３回目接種の前倒しや飲み薬の登場で、一日も早くインフルエンザのような扱いになることを願うばかりです。

マーケティング・リサーチ業界でも、新型コロナウイルス感染症によって変わったこと、変わらなかったこと、今後も定着するであろう変化など、人々の行動、態度、価値観などに関する調査が数多く実施されました。
２０数か国で同時に行われた調査では、人々の態度や価値観の変化が予想以上に少ないという結果の紹介もありました。
グローバルレベルでの価値観として、人々が最も強い関心を寄せているのが「気候への懸念」だそうで、企業が適正な税金を納める以上に、環境への害を減らす努力が重要とする人が６割以上でした。また自分の価値観を反映したブランドを購入すると、７割の人が回答しています。さらに、科学への信頼性の向上（特に短期間でのワクチン開発などで上昇）も長期トレンドとしてあげられており、多くの態度や価値観は何年にも渡り、上昇トレンドを続けているそうです。

新型コロナウイルス感染症により、人間の価値観や優先順位が根本的に変わったわけではなく、データプライバシーに対する無関心の高まりなども含め、これまでの傾向が改めて確認されているそうで、パンデミック経験によるニューノーマルは、多くの人が昨年予想していたよりもオールドノーマルに近いようだと結ばれていました。
マイクロレベルでは、さまざまな変化を皆様も実感していると思います。現在我々の業界に起こっている変化や拡大されていくインサイト産業、近隣産業とのコラボレーションも、大きな意味では「生活者をもっと理解する」上で必要な動きのひとつなのだと思います。

コラボレーションは、まずは、お互いを知るところから始まります。
ひとりの知恵や努力より、みんなの知恵を合わせた方がより良い結果をもたらすことは昔から言われていることです。
Equality（平等）, Diversity（多様性）, Inclusion（包括・包含）もまだまだ実現には至っていませんが、オールドノーマルの再確認なのかもしれません。