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JMRA創立30周年プレ・カンファレンス開催報告


JMRA創立30周年を一年後に控え、11月8日(月)京王プラザホテルにおいて、「マーケティング・リサーチの現状と社会的意義」と題し、<プレ・カンファレンス>を開催した。
満席の会場の中、公募で選ばれた中堅リサーチャーから5つの発表が行われた。 
三木会長の挨拶で幕を開け、最初にキリンビール株式会社 酒類営業本部企画部部長補佐の太田恵理子氏より「リサーチャーに期待すること~商品開発におけるリサーチの視点から~」と題して、基調講演が行われた。

最近の傾向としてマーケティング・リサーチの場面で、クライアント側のスピード重視、結果重視によって、リサーチの消耗品化、ブラックボックス化が進み、またリサーチ会社側もクライアントの要求をそのまま実行したり、調査精度が犠牲になってもクライアントの意向を優先したり、多変量解析の濫用が目立つなど、クライアントとリサーチ会社とのコミュニケーションが成立していない点が見受けられる。
こうした事態は、クライアント、リサーチ会社双方にとって不幸であると指摘された。
また、リサーチャーに期待することとして、実査精度の向上、仮説構築力の向上、IT技術革新にともなう分析手法の提案や信頼性を担保したネット調査についても言及された。
リサーチ会社に対しては、「クライアントの要求に対しても適切な助言をいただきたい」「クライアントの間違いはぜひ指摘していただきたい」「異なる業界を知っている強みを提案に活かして欲しい」など期待が述べられた。

引き続き、株式会社電通リサーチ 研究開発部長の中路佳代氏のコーディネイトにより、公募で選ばれたリサーチャーからプレゼンテーションが行われた。

まず最初に、株式会社日本リサーチセンター ノン・サンプリング・エラー研究会 MR本部調査企画3部 塩村有香氏、調査本部調査部 土井ゆき子氏から、『訪問調査の回収率アップ対策』~調査員の稼動と回収率の関係の研究~について文献や実証データの研究、分析により、回収率のアップ対策が提言された。

次に、株式会社日経リサーチ コール・オペレーションセンターセンター長 北川玲子氏より、『RDD調査の現状と意義』について、自社の取り組みとその事例が紹介された。

三番目に、株式会社インタースコープ シニアアナリスト 本間大一氏から、『Web上での模擬購買実験による価格弾力性の推定:VRC法』に関して、従来のPOSデータ分析、店頭実験、シミュレーテッド・テスト・マーケティング手法などの限界を克服するために開発された、Web上での模擬購買実験= VRC(Virtual Retail Conjoint)法を紹介された。

四番目は、株式会社リサーチ・インターナショナル・ジャパン 



質的調査部リサーチ・エグゼクティブ 阿部麻里子氏から、『グローバルブランドの管理』~消費者の期待に応えるために~については、リサーチ・インターナショナルの各国のリサーチャーがほぼ毎年、共通テーマのもと一斉に調査を実施し、ローカル/グローバルに分析し報告書にまとめる研究(RIO: 
Research International Observer)を紹介された。 
最後に、株式会社インテージ マーケティング情報事業部カスタムリサーチ部中国グループ・マネージャー 坂本高志氏より、『中国における市場調査について』中国の市場調査業界の概観と実査での注意点について具体的な事例を織り交ぜながら日本と中国の違いなどが紹介された。

以上、5つの発表は意欲に満ちた素晴らしいもので、会場からも活発な質疑応答が行われた。

第二部の懇親会は会場を移して行われ、席上、会場アンケートの結果が発表され、「中国市場における市場調査について」を発表した、株式会社インテージの坂本氏がベストプレゼンテーション賞に選出され、JMRA会長から記念品が贈られた。

選出理由は、「今、注目されている中国の調査事情が良く分り、とても参考になった。」「プレゼンテーターの説明が分りやすく良かった、また、内容も簡潔で理解しやすかった。」などの評価であった。


JMRAでは、リサーチャーの地位向上と情報交換の場として<カンファレンス>を位置づけ、毎年実施していきたいと考えています。

なお、今回の参加者は114社312名(正会員社53社215名、賛助会員18社36名、一般30社42名、招待13社19名)。

来年11月に予定されている「JMRA創立30周年カンファレンス」にむけて、さらに内容をグレードアップしたものを目指すとともに今回以上の参加者を集めたいと考えている。