「協創」~相互に高めあう関係を築こう~2007年JMRAアニュアルカンファレンス 盛大に開催される
マーケティング・リサーチの更なる飛躍を目指すという趣旨のもと、内外への情報発信、情報交流の場としたカンファレンスを毎年開催しております。
2007年度は、「『協創』~相互に高めあう関係を築こう~」と題したJMRAアニュアル・カンファレンスを、2007年11月28日(水)、ハイアットリージェンシー東京にて開催いたしました。
<第一部>
第一部は、牧田孝担当業務執行委員の挨拶で幕を開け、満席の会場の中、C.W.ニコル氏による「人と自然の共生」と題した基調講演をいただいた他、シニアマーケティングをテーマにしたパネルディスカッションが行われました。さらには、公募による会員社5社の研究発表、ならびにCMRA(中国マーケティング・リサーチ協会)からの発表、最後にJMRA田下憲雄会長の挨拶で締めくくられました。
挨拶をするJMRA会長 田下 憲雄氏
1.基調講演 C.W.ニコル氏「人と自然との共生」
C.W.ニコル氏より、「人と自然との共生」と題した基調講演をいただきました。ニコル氏が北極探検を通じて自然に関心を持つようになったこと、空手を学ぶために日本に初めて来た頃のこと、そして、日本に来て自然の美しさに魅せられたことなど、ひとつひとつのエピソードをユーモア溢れる語り口調でお話いただきました。また、長野県黒姫にある「アファンの森」の美しい景色や、そこに生息する動植物のDVD映像を交えながら、自然や森の大切さについてお話いただきました。そして、最後に、「日本を美しくしていきましょう」とのメッセージをいただきました。
C.W.ニコル氏
2.パネルディスカッション 「シニアマーケティングの展開とリサーチ課題」
パネリスト:
クラブツーリズム株式会社
サンスター株式会社
株式会社ベネッセコーポレーション
山本 保善 氏
脇田 真知 氏
林 純一 氏
司会者:
カンファレンス委員会
五條 雅史
拡大しつつあるシニアマーケットの概況が、司会者より説明された後、各パネラーからシニアマーケットに対する取り組みをご紹介いただきました。クラブツーリズムの山本氏からは、お客様自らが添乗業務に携わるシニア向けツアーなど、顧客参画の視点に根ざした新たな取り組みが紹介されました。また、サンスターの脇田氏からは、歯周病の啓蒙活動により成功した「G・U・M」ブランドの成功事例、さらに、ベネッセコーポレーションの林氏からは、老人ホームを中心とした介護事業に対する取り組みが紹介されました。
各社の紹介を受け、今後のさらなる展開や、マーケティングやリサーチの課題について、活発なディスカッションが行われました。一口に「シニア」といっても、極めて多様性を帯びたマーケットであり、その多様性にどのように対応していったらよいのかが、今後の課題であることが浮き彫りにされました。
熱気あふれる会場風景(パネルディスカッションの模様)
3.公募研究発表
昨年に引き続き、多数の応募の中から厳選された5題の研究発表がなされました。いずれの研究も、参加者の興味をひく素晴らしいものであり、発表後、活発な質疑応答が行われました。
I.『インターネット調査によるデイリートラッキングの可能性検証』
株式会社インテージ 横山 新一郎 氏
デイリートラッキング調査における回答行動の綿密な分析結果から、実査時間のコントロールによって、デイリートラッキングの実施が充分に可能であることが発表されました。また、都知事選における投票意向に関するデイリートラッキング調査の結果から、データの安定性の検証もされました。
II.『携帯電話を使用した訪問調査FW管理システムの導入について』
株式会社ビデオリサーチ 横山 晃典 氏
同社の「VRComPass」による訪問調査員の管理事例が紹介されました。「VRComPass」の導入によって、対象者の個人情報の保護が強化されることや、エリアランダムサンプリングでの調査が効率的に行われることなどのメリットが発表されました。
III.『定性分析における新コーディング手法「文脈取り」の可能性と有用性』
株式会社ゲイン 市川 寛子 氏
テキストデータのアフターコーディングについて、従来の「MA振り」から得られた結果と、原文の持つ意味や構造を反映した「文脈取り」から得られた結果とを比較しながら、「文脈取り」のメリットについての発表がされました。
IV.『定性調査の革新的なツール「インターネット・テレビ電話 グループ・インタビュー」
そのユーザーベネフィットと今後の可能性について』
エヌピーディー・ジャパン株式会社 藤吉 孝之 氏
インターネット・テレビ電話を活用したグループ・インタビューについての有用性が発表されました。スピード、コスト、レアターゲットのリクルート、複数地域での実査が容易、モニタリングが容易といった点で、従来のグループ・インタビューに比べてメリットがあるとの報告がされました。また、データの質についても、自宅からリラックスした環境でセッションヘ参加できるため、より本音を引き出せるのではないかとの発表がされました。
IV.『「女性のライフコース変化と消費動向」研究プロジェクト』
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント 加藤 泉 氏
学習院大学 経済学部経営学科 非常勤講師 乳井 瑞代 氏
様々なライフイベント(就学・就業・結婚・出産等)と、そこでの選択によって構成される「ライフコース」が、消費行動に大きな影響を及ぼしていることが、女性を対象にした同一サンプルの追跡調査の結果をもとに、発表されました。さらに、「ライフコース」という視点が、新たなセグメンテーション軸として有望視できるなど、今後の有用性についても展望されました。また、この追跡調査は、今後も継続して実施していく予定であり、今後は、ライフコース間の遷移のダイナミズムを視野にいれた分析を行う予定であることも報告されました。
4.海外発表
『The Development of China Marketing Research』
CMRA中国マーケティング・リサーチ協会
会長 リュウ ドゥホワン 氏
中国における市場調査の発展の特徴について、初期段階(1985年~1994年)、急速発展段階(1995年~1999年)、安定発展段階(2000年~2007年)の3段階に分けて、ご紹介いただきました。また、現在では、国外の分析方法の導入と共に、中国独自の分析体系の確立も進んでいる状況を、ご報告いただきました。
CMRA会長のリュウドゥホワン氏
<第二部>
第二部の情報交流会にも多くの参加者が来場され、大盛況となりました。JMRAカンファレンス委員会の橋本勝委員長の挨拶で始まり、KOSOMAR理事のイ・サンギョン氏、CMRA副会長兼秘書長のティエフー・シュー氏より、メッセージをいただきました。
また、第一部の公募研究発表を対象として、会場参加者の投票によって決まるベストプレゼンテーション賞、ベストペーパー賞の表彰が行われました。ベストプレゼンテーション賞には、加藤泉氏(株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント)・乳井瑞代氏(学習院大学)『「女性のライフコース変化と消費動向」研究プロジェクト』が選出されました。ベストペーパー賞には、藤吉孝之氏(エヌピーディー・ジャパン株式会社)『定性調査の革新的なツール「インターネット・テレビ電話 グループ・インタビュー」そのユーザーベネフィットと今後の可能性について』が選出されました。
会場は終始和やかな雰囲気のなか、リサーチャーとお客様との情報交流の場として、活発な情報交流が行われました。
ペストプレゼンテーション賞を受賞した
(株)リサーチ・アンド・ディベロプメントの加藤泉氏と
学習院大学乳井瑞代氏
(写真は授賞式の模様、受賞した加藤氏)
ベストペーパー賞を受賞した
藤吉孝之氏(エヌピーディー・ジャパン(株))
※今年度より、ベストプレゼンテーション賞には、その副賞として次年度開催される中国あるいは韓国におけるカンファレンスでの発表資格が与えられることになりました。
なお、本年度カンファレンスの参加者は、566名(正会員社59社351名、賛助法人26社68名、賛助個人7名、一般35社55名、海外12名、招待73名)でした。
今年のカンファレンスを支えていただきました参加者、発表者、講演者、公募応募者、更に飲料ご提供会社様、オフィシャルスポンサー様、広告出稿企業様に、この場をお借りしてお礼を申し上げます。
最後に、カンファレンス委員会では、来年2008年度もよりよい情報交流、マーケットリサーチの相互理解、向上の場を提供していきたいと考えております。どうぞカンファレンスに対する皆様のご関心、ご要望に応えるため取り組んでまいりますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。