営業企画
クライアントとの契約
クライアントとの契約内容の明示は、調査機関がクライアントに(あるいはクライアントから)提示した(された)文書によって行われなければならない。
調査機関の営業管理責任者は、クライアントが「プロジェクト」を確認する時点で自らが本基準に規定する規則に精通すると共に、これを遵守した契約を行わねばならない。
引き合いへの対応
- クライアントの要望に対応する、中心となる社員の氏名を、内部資料として記録しておかなければならない。
- クライアントから引き合いがあった場合、クライアントが求めているものが、企画書なのか費用概算であるのかを判断しなければならない。 企画書と費用概算は明確に区別しなければならない。
企画書の必須要件
(クライアントとの別段の合意をしない限り)、調査機関がクライアントに提出する最初の正式企画書、あるいは依頼を受けて調査に着手する前に送付する二次文書に、以下の項目に関する文言が含まれているか、あるいは(例えば前回の調査時のものが)参照されていなければならない。
- 1.調査の目的
- 調査機関とクライアントはプロジェクトに関する一連の調査目的について合意しなければならない。
- 2.調査方法
- 調査方法は文書に記述し、必要に応じて、少なくとも以下に掲げる事項について言及しなければならない。
- 1.調査対象
- 調査方法の中で、調査対象者が定義されていること。
- 2.調査地域
- 対象「市区町村名」、あるいは「首都圏30内」のように明記する。
- 3.標本サイズ
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- 全体数および(調査目的に関連する)有用な人口特性またはその他のブレークダウン別の抽出数
- 抽出数/完了目標数を明記する
- 4.標本抽出法
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- 無作為抽出法(単純無作為/多段抽出法、層化抽出法、系統/確率比例抽出法など、採用抽出法を明記する)
また、層化の際の基準、多段の際の各抽出単位を明記する。
- 割り当て法、その他の選出方法
- 抽出フレームの種類(住民基本台帳、選挙人名簿等、適用できるフレームを明記する)
- クライアントから抽出指示書や抽出手順書を求められれば提示しなければならない
- 独自のマスターサンプルから抽出した場合はその手続き概要を明記する
- 5.調査手法
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- 調査票の往/回答聴取/調査票復の方法による以下の9手法を現状でスタンダードとする
- 「面接法」は“持参・面接・持帰る”場合のみに適用する
- 6.調査の日程
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- 引き合い当初の提出する企画書の日程は、大日程(概略日程)とする
- プロジェクトの受託後、調査機関はクライアントに確定した調査日程表と作業内容をできるだけ具体的に明記し提出しなければならない
- 詳細日程には最低限以下の事項が含まれていなければならない
- 調査設計仕様書(企画書)・調査票・調査指示書等の最終確認日
- 調査票・調査資材など印刷物の入稿日
- クライアントから提供される調査資材の納品日
- 実査の日程表(初票点検・中間回収等があればそのプロセスを明記する)
- データ作成の日程表(アフタ・コーディング・データ入力)
- 分析仕様(承認の)日程表
- 調査結果の納品物(納入仕様とそのタイミング)が明確に規定されていること
- 上記日程表の変更は如何なるものも、クライアントに速やかに通知しなければならない
- 7.データ処理方法
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- OAなどの処理方法
- ウエイトバックや多変量解析などの特殊処理を行うもの、集計ページ数など見積金額に関係するものはあらかじめ明記する
- 8.納品物
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- 報告様式が明確に規定されていること
- 報告書内容の概要(概算ページ数、判型、部数、また数表の提出部数)
- FD、CD-R、MT、MO等、各種電子媒体またはその他の媒体によるデータ納品の有無
- 9.プロジェクトリーダー
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- 企画書には調査実施機関として会社名、担当部署名を明記する
- 報告書には品質保証の責任を明確にするため、プロジェクトのリーダー(実質的な業務レベルの管理責任者)名を明記する
- 10.外部委託
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- 特定の実査、データ処理の外部委託の予定がある場合。
顧客の期待充足
調査機関の役割は、常にクライアントの正当な期待を充足させるよう努力しなければならない。
- (プロジェクトリーダーの役割)
プロジェクトリーダーは、状況に即して再交渉する責任を負う。
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- プロジェクトリーダーは、プロジェクトの仕様、費用、日程等の決定及び大きな変更については、クライアントと合意し、確認する責任を負う。
- 日程の遅れを含め、回避できない問題は時として発生するものである。
プロジェクトリーダーは、損害の拡大を抑えるため、迅速に行動することが重要である。
それにはクライアントに対し問題を早期に報告し、講ずべき対応措置を双方で協議する。
- クライアントからの調査成果物(結果内容、調査全般の妥当性等)に対する疑義についてプロジェクトリーダーは「マーケティング・リサーチ綱領」に則り迅速かつ誠実に対処する。
回収数の報告
- 1.以下のサンプル数を報告する
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- 抽出数(設定サンプル数)
- 回収数(内、有効サンプル数)
- 2.実査完了後、「調査不能」の内訳を以下の7種に分類し、各々の数を報告する
- 「調査不能」の内訳
- 移転:名簿に記載があるにもかかわらず「転居・転出」の場合
- 長期不在:旅行・出張・入院中等による実査期間内におよぶ不在
- 短期不在:長時間の外出等で再三の訪問にもかかわらず調査不可
- 住所不明:調査員の努力にもかかわらず所在地・居住地が発見できなかった
- 調査拒否:理由が明示されての拒否、又は明示されず単に拒否の場合
- 条件非該当:適格対象者以外の名簿への混入
- その他:上記以外の不能理由によるもの
(身障者の方であるための不能も含む)
- 3.回収率の算定(確率標本抽出の場合)
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- 回収率=回収数/n(設定サンプル数)
- もし、予備サンプル使用の際は設定サンプルに含む
- 割り当て法による場合
- 割り当て完了率=割当完了数/n(アタックしたものの内、条件適格者数)
- 郵送法による場合
- 返信率=回収数/n(発送数ー宛先不明等で返送されたもの)
- 4.手作業による調査票のチェック、又は集計段階で、キーとなる質問の回答拒否や無回答が多いため 無効票扱いになった票を除いた場合の回収率を「有効回収率」とし、報告書に明記する
- 有効回収率=(回収数ー無効票)/n(設定サンプル数)
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