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キートレンド(3)

2.5.リサーチャーのスキルセットの変

リサーチャーに要求されるスキルは変化している -クライアントは単なるデータには満足せず、ダイナミックに変化する経営環境において、ビジネス上の意思決定を可能にする知識を要求するようになってきているからだ。 リサーチャーは、クライアントに対し、過去の出来事を確認するより、むしろ将来を見据えたサポートの提供を求められ始めている。

リサーチ企業は、リサーチャーの業務をより広いビジネスニーズやビジネス戦略と関連づけできるよう、総合的な研修プログラムを行い、業界経験や財務スキルのある人材の確保に努め始めている。

次のグラフは、オランダとイギリスにおける100件の求人情報に関する調査結果を示している。 リサーチ、コンサルティング、それぞれの業界経験に関する条件の違いは予想した以上に大きく、グラフが示すとおり、コンサルタントに要求されるスキルはリサーチャーのそれとは大きく異なっている。 コンサルティング企業は問題を明らかにし、解決策を実行できる人材を求めている。 一方、リサーチ企業は、業務課題と関連性にうまく対処し、創造的で、研究成果を発表できる人材を募集している。 調査結果がビジネス戦略にますます活用されていることを考えれば、これら求人広告にあるスキルと個性を併せ持つリサーチャーへの需要は当然であろう。


能力開発
ESOMARのDeveloping Talent (能力開発プログラム)は、次世代マーケティングリサーチにおける専門家としてのスキル、ノウハウ、専門知識を高めるプロジェクトである。 この第一歩として、マーケティングリサーチの研修を充実させ、より調和の取れた内容にするための関心を高め、新たなマーケティングインテリジェンススキルの重要性に対する認識を業界に促すよう働きかけている。

コンサルタントに要求されるスキル上位10項目


リサーチャーに要求されるスキル上位10項目


2.6.技術進歩

マーケティングリサーチ業界は、破壊的変化によりその姿を大きく変え始めている。 その多くは、急激な技術進歩によるものである - これらは新たな収入源獲得の機会を生み出すと同時に、現在までに築かれた、強固な市場の地位を危険にさらす恐れもある。

最も明白で破壊的な変化はオンラインパネルに関するものだ。オンラインリサーチの市場規模は世界全体の13%と予測されている。 米国ではアドホック・カスタムリサーチ全体の30%、つまり12億ドルに相当する額がオンラインに費やされている。 倫理性や信頼性をめぐる議論は、ESOMARのオンラインリサーチに関するガイドラインでの最新追加事項となった国際協定に基づいて活発に進んでいる。 この新しいガイドラインは、共通の定義を適用することで、パネル品質を評価するクライアントをどのように支援するかという取り決めを保証するものである。 これまで、品質の定義について何の標準的方法もなかったことを考えるとこれは大きな前進である。 またこの新しいガイドラインでは、透明性を促し、世界中のリサーチ専門家に受け入れられている理念に沿って、正しくパネリストを扱うことが強く主張されている。

リサーチがよりグローバル化するにつれ、またオンラインが大きな割合を占めるにつれ、安定した手法やグローバルレベルの分析ツールの提供に必要な技術プラットフォームへの投資に多大な予算を組み込める大企業ほど優位な立場に立つようになる。 ESOMAR Prices Study 2005では、オンラインリサーチの実施で可能となったコスト削減の効果がクライアントに波及したため、価格は下落した。 ダイナミックに急激な成長を見せるこの業界で生き抜くには、高レベルの投資を維持することが課題である。 クライアントにサービスを提供し、高度なオンラインツールを展開してパネルやデータの質を高く保つと同時に、高い競争障壁を維持するには、投資が不可欠である。 企業が標準的なデータ提供サービス、潜在的トレンド分析、戦略アドバイスに加え、コンサルティングサービスを提供することで利益幅を増大させているように、投資が実を結ぶ兆しが見えてきている。

Wi-Fi、WiMAX、Bluetoothなど無線技術の発達は、マーケティング関係者に豊富な情報源を与えると同時に、データの捕捉や消費者行動をトラッキングする革新的な分析方法が展開できるようになったことをリサーチャーに確信させようとしている。 消費者の位置、身元情報、取引記録を探知できるRFID (Radio Frequency Identification:無線ICタグ)などのアプリケーションは、まだ導入の初期段階であり、プライバシーに関する問題も持ち上がっている。 RFIDの使用方法については、欧州委員会で作業文書を準備している段階である。詳細については、最新版のWIN(※1)公共政策を参照されたい。

コンピュータ処理能力の増大はリサーチサイエンスを激変させる潜在的な可能性があり、これまでにない緻密なモデルや予測ツールの活用を可能にしている。 Hierarchical BaysやAdaptive Conjoint & Discrete Choiceなどのモデルでは、「仮説」シナリオの答えを提供することが次第に可能となってきている。 コンピュータ処理能力増大の影響の好例が Maximum Difference Scaling (MaxDif)モデルである。 MaxDifはもともと1987年に概念化されたものであるが、この2年間でようやくコンピュータ処理能力がそれに追いつき、コマーシャルツールとして普及するようになった。 このモデルでは、リサーチャーが異文化環境における消費者の嗜好や満足度についての発見事項を比較することができる。 各地域にまたがる消費パターンを理解するなど、多国籍ビジネスを支援するには不可欠なモデルである。

マーケティングリサーチが多くの地域において、改革と導入の狭間に立たされているのは明らかである。

(※1) WIN は、リサーチ業界の世界的リーダーの政策決定フォーラムであり、関連機関と最新情報を共有し、これらと足並みをそろえ、業界の研究課題に参画させるコミュニケーションプラットフォームである。トレンドや重要課題について話し合い、共同の対応とアクションプランを展開する定例国際会議が組織されている。

マーケティングリサーチ業界の将来

リサーチ業界は今後5年の間、目覚しく展開すると予測される。

コンサルタントに要求されるスキル上位10項目


出所: ESOMAR Vision 2010  



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