実査管理
事前準備
実査事前準備として以下のことをとり行なわなければならない。
- 1.1.参加者のリクルート
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- 1)参加者の決定
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- グループインタビュー調査は少人数の参加者に対して行われるもので、参加者の集め方には注意を払わなければならない。
- 集め方は調査の目的に応じ、そのグループの参加者として最も相応しい人が選ばれ、集められなければならない。
- 2)参加者のリクルート方法
参加者は、各調査に即した条件を満たしていることはもちろん、グループ
インタビュー調査の参加者であることを考慮し、以下のことを踏まえた選
定をしなければならない。
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- グループの属性
グループの属性は、企画書に設定された属性条件に則ったものでなければならない。 また、参加者はその属性条件を満たしていなければならない。
- 参加者同士の条件
その調査の参加者は、互いに知り合いでないよう注意を払わなければならない。 これは1グループの中に限らず、設定された全グループに摘要されなければならない。
しかし、知り合い同士の方が有益であると判断される場合、クライアントの合意の上その条件が摘要される。
注) |
リクルーターとは、対象者をリクルートする為の教育を受けた専門の調査員のことである。 |
- 採用方法
参加者の採用は、リクルーターによる電話、あるいは面接により行なわなければならない。
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3)リクルーターへの説明
リクルーターには、その調査の参加者条件について明確な指示を与えなけれ
ばならない。 指示には、調査ごとに以下の事項が示されていなければならない。
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- インタビューの日時、場所
- リクルートの条件(適格条件、除外条件)
- 割り当て条件
- グループごとのリクルートすべき人数
注) |
参加者リクルート用の調査票とはスクリーニングシートのこと。 |
4)リクルート用資料
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- グループインタビュー調査の参加者を採用する際には、参加者リクルート用の調査票を使用しなければならない。
- リクルート用調査票では、以下の事項を含む質問がなされなければならない。
- 調査の必要条件を満たす適格基準(適切な除外質問/領域を含め)
- 性,年齢,未既婚等の基本属性および階層区分
- 特定の職業(関係者)を排除する基準
- グループインタビュー調査参加経験
注) |
GI参加経験者を制限する場合、経験回数・時期をリクルート用の調査票に含める必要がある |
注) |
義務教育(中学生以下)を対象とするインタビューの場合、まず親または責任ある成人の承諾を得なければならない |
5)参加者への事前案内と了解
全ての参加者に対し、インタビューの前に目的や趣旨を説明し理解、了承
を得なければならない。この事前案内には以下の要件が含まれていなけれ
ばならない。
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- マーケティングリサーチにおけるインタビューの役割、インタビューがどのような形式で行なわれるのかの説明
- 参加者の個人情報(プライバシー)の秘守、匿名性の保証
- インタビューの結果、参加者が不利になることや、迷惑をかけることがないという保証
- 参加するインタビューにおける観察と記録の有無、および観察と記録の方法
- インタビューの日時と所要時間、会場案
6)リクルート条件との適合性検証
インタビュー前に、採用された参加決定者に対して、その調査の必要条件を
満たしているか(除外条件/領域を含む)、適合性を検証しなければならない。
この検証は、電話または面接方式で行うか、会場に到着し、グループを構成
する時点で行われなければならない。
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- 1.2.会場の事前点検
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- 初めて使用する会場については、市場調査に適していることを確認するため、使用前に点検、確認しなければならない。
- その際の点検、確認はプロジェクトについて明確に説明を受けたものが担当し、その結果は文書に記録して残さなければならない。
- 1.3.インタビューガイドの事前作成
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- 会員社は、プロジェクトの受託後、調査目的に合致したインタビューガイドを作成、準備しなければならない。
- インタビューガイドの作成、再吟味、及び校了に、クライアントは参加できるものとする。
- 調査を容易にするために、投影法、あるいはその他の技法を使用しようとする場合は、それも併せて事前にクライアントの同意を得ておかねばならない。
注) |
インタビューガイドとは、グループインタビューをどのように進め、どの点を聞き取るかの「インタビュー内容の項目別リスティング」と「問い方・進め方」を、全体のフローチャートとしてとりまとめたもの。 |
- 1.4.司会者の事前準備
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- 司会者は実査に着手する前に、調査の目的、調査すべき事項、刺激材料、関連する投影法、またはその他の技法に精通していなければならない。
- 司会者は対象者が選定基準に適合していることを確認しなければならない。
注) |
司会者とは、司会者は、しかるべき教育を受けているもの、または、企画テーマを熟知したもので、クライアントの了解を得られた場合に司会を行うことが出来る。 |
記録
本項では以下に揚げる調査実施中の記録の方法、およびその取扱いに関する規定を示す
「グループインタビュー調査」「定性的なアプローチによるパーソナルインタビュー」等、定性調査の記録を指す。 (以下、上記を合せてグループインタビューと表記)
注) |
記録とは、定性調査の筆記記録、録音・録画したテープやディスク、およびそれらをベースに作成された対象者の発言集等をいう。 |
- 2.1.記録の目的と方法
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- グループインタビューは、グループダイナミックスによる個人個人の発言が誘発されるため、その反応の正確な記録が実査後の分析作業に資する必要不可欠なデータとなる。
そのため、会員社は正確な記録を残さなければならない。
- 記録機器にトラブルが発生し、記録できなかった場合、司会者または分析担当者はインタビュー終了後、速やかに文書による備忘録を作成しなければならない。
注) |
クライアントとの間に記録を行なわない旨の合意がある場合、2.1.は適用されない。 |
- 2.2.記録に対する対象者の同意
インタビュー内容の記録が行なわれる場合には、事前に、調査対象者に「記録の目的」と「記録方法」を知らせ、記録することに対する対象者全員の同意を得なければならない。
インタビュー終了後、調査対象者から発言記録の削除や訂正を求められた場合、会員社はそれに応じなければならない。
- 2.4.匿名性保護と記録の開示
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- 調査対象者の匿名性はいかなる場合においても、厳重に守る義務を負う。 対象者が調査に協力したことによって、直接被害を受けたり、不利益を被ることがないよう、会員社は万全の措置を講じなければならない。
- 会員社は、当該の記録に含まれる調査対象者の全員から事前に「対象者の機密を保持し、また合法的かつ倫理的な調査の目的に限定して本記録を使用すること」の承認を受けない限り、原記録を他に提供してはならない。
- 当該調査対象者からの許可が得られた場合、インタビュアーはその場でその旨、記録することが必要である。
- 2.5.原記録(ビデオテープ)に対するクライアントの権利
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- クライアントは、会員社の管理のもと、原記録(録画されたビデオテープ)を閲覧する権利を有する。
- ただし、対象者が特定できないように(例えば、目隠し等人物を匿名にした形に)修正されたビデオテープであれば、クライアントはその複製コピーを手に入れる権利がある。
- 会員社は閲覧するクライアントに対し、以下の3点を遵守するよう、文書で了承を得なければならない。
- 閲覧した記録は発言内容の分析以外には使用しないこと。
- いかなる状況においても、記録から特定される調査対象者に対して販売促進や直接販売活動など調査以外の目的で接触しないこと。
- 再調査の新たなプロジェクトに関する目的であっても、調査実施機関に無断で調査対象者に接触しないこと。
注) |
原記録とは、司会者や書記による筆記記録、インタビューに使用した調査票、実査場面を記録したテープやディスクなどのことを指す。 |
注) |
記録の提供先とは、クライアントやその代理店のことである。
- ※ 2.5については2002年を完全施行としその間の暫定措置として
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- 分析以外には使用しない
- 対象者の匿名性を厳重に守る
- 厳重な部外秘とする
- 万が一、流出しトラブルが生じた際の一切の責任は記録の提供先が負う旨の了承を文書で取り交わすことでビデオテープコピーを提供してもよいものとする
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クライアントによるインタビューの観察
- クライアントは集団面接を実施しているとき、(同時に記録装置を使用して、あるいは使用せずに)それを観察できる。
- このような場合、リサーチャーは必ず、観察者のすべてがいかなる状況においても対象者の匿名性を保護し、収集した情報は調査の目的以外には使用しないことを完全に理解させ、それを遵守することに同意させなければならない。
注) |
会員社は、調査対象者を知っていたり、直接何らかの関係を持っている可能性があるものを観察者に含めぬよう努力しなければならない。
例:企業の管理者、または医師に対する調査の場合には、クライアントの販売担当者を含めない等。
※観察告知方法として「分析の為にこのインタビューを見るべきスタッフが他にも存在し、別部屋で見せて頂いています。 皆さんに迷惑をかけることは一切ありません」等、必要要件を網羅した説明が必要である。 |
実査終了後のフィードバック
- 司会者は、グループインタビュー終了後、参加者の適格性と適切性についてフィードバックしなければならない。
- この情報は、司会者自身が直接記録するか、あるいは調査主担当者が司会者から話を聞いて記録しなければならない。
- 重大な欠陥が実査監査中に発見された場合、すみやかに関連のスーパーバイザー、リクルーターに折り返し、報告しなければならない。
- また、これらのことは、欠陥に対して取られた処置とともに記録しておかなければならない。
- 尚、リクルーターに対してこれらの結果をフィードバックし、適宜、必要なガイダンスを行わなければならない。
定性分析
- 回答の分析には、テープであれ、速記録であれ、面接時の原記録を使用しなければならない。
- また、こうした記録をデータ解釈の際に利用したことを裏付ける資料が整備されていなければならない。
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