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AI・イノベーションセミナー第3回
調査領域における生成AI活用事例ご紹介

リサーチ・イノベーション委員会


2024年8月2日に開催された「AI・イノベーションセミナー第3回」では、(株)ビデオリサーチの藤森省吾氏と(株)オルツの山口正人氏より、「生成AI技術はアスキング調査の代替になるのか」と題して、「デジタルクローン」技術と生成AIを活用した「Asclone」サービスが紹介されました。

デジタルクローン技術についてはテレビ番組やYouTubeなどで見聞きされた方も多いと思いますが、近年の精度向上には目を見張るばかりです。オルツ社のデモには「ホンモノの人間(=本人)が話しているのでは?」としか思えないパーソナライズされたデジタルクローンが登場し、十分な実用段階に入っていることが実感されました。そうした技術を応用し、ビデオリサーチ社が長年にわたって蓄積してきたACR/exのマーケティングデータベースを正解データに活用して開発されたAscloneは、対話形式で仮想対象者(思考や感情を持ったクローン人間)にインタビューすることができるサービスです。AIが生成した「相談相手の進化版」として、リサーチャーをサポートする役割を期待しているとの説明がありました。

利点としては、個人情報保護問題を完璧にクリアできること、「企画構想時点の壁打ち相手」として疲れを知らずに対応してくれること、深掘りの仕方次第ではあるものの、アイデア出しのヒントとなる情報を得られることなどが紹介されました(チャットベースのグループインタビュー的なデモを通じて具体的な使用例が示されましたので、詳しくは記録動画をご覧ください)。

一方で、Asclone自体は「答え」を出してくれるものではなく、人間のアイデア発想をサポートする存在に過ぎず、クリエイティブな仕事には向かないことも理解されています。生成された相談相手はターゲット属性の一般的な「考え方」を答えてくれるのであって、「事実」は苦手としています。また、比較対象として、ChatGPTはあくまでも「正解」を教えてくれる(くれようとする)検索の進化版であり、属性を作り出してその思考を聞き出すAscloneとは立ち位置が異なる、との補足がありました。

質疑応答も活発に行われ、参加者からは「デジタルクローンの仕様やLLMの応用可能性について理解が深まった」「既存・従来型のサービスやソリューションの代替かと思っていたが、むしろ補完という価値が大きいと実感できた」「人とはいったい何? 人の存在意義・価値は? と改めて感じた」などといった感想が寄せられました。

なお、同業の調査会社の方でも利用可能とのことです。ご興味のある方は、直接ビデオリサーチ社宛てにお問い合わせください。

以上

2024.8.27掲載