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たいとる

リサーチャーのDX/リスキリング推進シリーズ講座
-第2弾 開催報告
『生成系AIによる定性・質的調査の新しいスタンダード」

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JMRA・キャリアアップ委員会


2023年7月20日14:00―16:00 ZOOM(ミーティング)で実施
講師 株式会社アンド・ディ社長 佐藤哲也氏(JMRAキャリアアップ委員会担当理事)
   株式会社インテージ 小島賢一氏
   株式会社アンド・ディ 小木戸渉氏


リサーチャーのDX対応推進をテーマにした本シリーズの第2回目を実施しました。
冒頭の佐藤哲也担当理事の趣旨説明に続いて登壇いただいたのは、2023年6月末まで定性専門の調査会社 インテージクオリスの代表を務められた 現インテージの小島賢一氏と、アンド・ディで生成系AIサービスの事業開発を推進されている小木戸渉氏です。

小島氏は、ご自身でも定性調査にテクノロジーを取り入れたサービスを多数開発されたご経験があり、今回は本セミナーのテーマである生成系AIの定性調査活用可能性を実証するためのグループインタビューを企画・実施しました。
小木戸氏は、小島氏が実施したグループインタビューの音声データを整理し、生成系AIや深層学習も含めた事後処理を行い、どのようなメリットが見いだせるかを検証しました。

グループインタビューのテーマは「マスクについて」。
生成系AIを利用してつくったマスクの新製品に対するコンセプト案4案の評価を、異なる属性で2グループ実施しています。
そこから得られた各グループの音声データを使って

  • 対象者を分けた発言の書き起こしができるか
  • コンセプト評価は正確に再現できたか
  • グループ別の特徴は抽出できたか
  • これまでにない新しいまとめ方はできたか
などを確認し、現時点で生成系AIに期待できることと、今後の活用可能性を整理しました。

 

小木戸氏の検証結果によれば、

  • 対象者を分けた発言の書き起こしは、活用する深層学習のモデルにもよるが、発言を分ける精度は比較的よい。ただし、正確さの点で、まだ熟練したプロの書記の方には及ばない。
  • 発言データからコンセプト評価を正確に拾うことを目指したが、細かいところで実際の発言とあわない場合がある。
  • グループごとの発言傾向の共通点や相違点はうまくまとめられたが、発言者別にみると「いないはずの発言者」や「言っていないこと」が含まれて(生成されて)いる。
  • これまでにない新しいまとめ方や機能として
     - インタビューフローをもとにした発言の自動振り分け
     - 発言している対象者の感情の判定
     - コンセプトに対する評価の2軸プロットの自動化
     - グループごとの発言を読み込ませてショートストーリーを作成し挿絵をつけるなどが実現できた

とし、生成系AIの定性調査活用への現時点での課題と今後の期待を整理して示されました。

小島氏は検証結果を踏まえ、発言をすぐその場で自動書き起こし・要約までする「リアルタイム性」を期待したが、現時点ではまだそこまでは実現できない。プロの書記の方が書き起こした発言録を生成系AIにインプットして要約やアウトプットの整理をするところは活用できそうだが、どの程度効率化できるかは個別検証が必要との見解を示しました。
また、今後の期待として、リアルタイムの文字起こし精度が上がると

  1. 対象者自身や実査に立ち会っている調査関係者の、実査中の理解促進 
  2. 実査後のデブリーフィングの活性化
など、定性調査が劇的に変わる可能性と期待があると述べられました。

今回の検証結果を通じ、生成系AIで既存の業務プロセスをどう効率化するか、そのためにどのようにAIに指示文(プロンプト)を与えるか、だけでなく、生成系AIを含めた新しいテクノロジーを活用して、これまでの定性調査とは異なるアプローチで調査対象者の発言をとらえ、再整理・表現し、伝える「テクノロジー時代の新しい定性調査」を構築できるのではないか、との貴重なメッセージを登壇者からリサーチ業界に示していただいたと受け止めました。

ご案内
[ご案内]

リサーチャーのDX/リスキリング推進シリーズ講座 第3回は「生成系AIは定量・データ分析をどう自動化するか?-定量分析とその自動化の現在地」と題し、8月30日(水)14:00~16:00開催します。ご期待ください。

・お申込み詳細は以下をご確認ください。
 https://www.jmra-net.or.jp/activities/seminar/2023/20230830.html

掲載日

2023.08.22掲載