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リサーチャーのDX/リスキリング推進シリーズ講座
-第3弾 開催報告
『生成系AIは定量・データ分析をどう自動化するか?』
  -定量分析とその自動化の現在地、そして未来

JMRA・キャリアアップ委員会

 

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2023年8月30日(水)14:00~16:00  ZOOM(ミーティング)で実施
講師 大西立顕 氏(立教大学 大学院人工知能科学研究科 教授)
   佐藤哲也 氏(株式会社アンド・ディ社長 、JMRAキャリアアップ委員会担当理事)


ChatGPTの “ Code Interpreter ” などで注目を集めている生成系AIが、定量分析にどのような影響を与えるかを主眼とした本セミナー。

前半の講演で登壇した大西氏によれば、ChatGPTの精度は高水準になってきており、Pythonのプログラミング演習の授業で出題される問題を、ほぼ全問正解できるほどのクオリティになっているとのこと。大西氏ご自身も、学生がプログラミングを学ぶ際には、ChatGPTを活用した学習方法を推奨されているそうです。ただし「ChatGPTで定量分析をする前提として、投入するデータをきれいに前処理する必要がある」と述べ、「欠損値や外れ値に注意する」「相関係数を正しく読み取る」「パラメトリックな統計検定は正規分布を仮定しており、必ずしも正確ではない点に留意する」など、いくつかの留意点に言及しました。

つづいて大西氏は、生成系AI(ChatGPT-3.5)を用いて、都道府県のcsv形式のデータ19項目を分析するという実例を紹介します。ChatGPTに都道府県のcsvファイルを添付した上で、データの概要を図にするように指示を入れると、Pythonのコードが書き出されます。Pythonのようなプログラミング言語を扱えない場合の対応として、大西氏は、 Googleが提供する「Google Colabolatory(Colab)」という無料サービスを紹介。Colabを活用することで、csvファイルのデータを図にできたほか、ヒートマップやヒストグラムなどの作図までChatGPT上でおこなうことができました。

大西氏は、このような紹介を経た上で、ChatGPTについて、「プログラミングの質問には強く、前処理をしたキレイなデータや定型的な内容については、かなり正確な返答をするのではないか」と分析。「高性能な生成系AIや、定量分析に特化した生成系AIの登場に期待したい」と締めくくりました。

後半では、マーケティング・リサーチの現場における「大規模言語モデル(LLM)による定量分析自動化の現状」について、佐藤氏が講演しました。

佐藤氏は、従来型のAIと生成系AIの根本的な違いについて、主に「AIの事前学習が不要であること」「プログラミングの知識がなくても使えること」を挙げ、AIそのものの定義がここ一年足らずで激変してきていることを強調します。また、生成系AIのサービスも急速に増えており、ここ数ヶ月だけでも、“ ChatGPT Enterprise ” の発表や、商用利用可能な “ Llama2 ” のリリースなど、いくつものニュースが出てきています。

リサーチ業界で、注目を集めている、ChatGPT-4bの新機能である “ Code Interpreter ” (8月末に “ Advanced data analysis ” に改称)の実演では、自然言語の指示により、ChatGPTが実際にPythonのコードを実行する様子がZoom越しに共有されました。集計表についても、リサーチ業務でいますぐ使えるほどのレベルにはまだ達していないものの、基本的な表作成はできるようになっているとのこと。

こうした現状を踏まえた上で、佐藤氏は、マーケティング・リサーチの対照的な調査手法である「定量」と「定性」の境界線が生成系AIによって消失するのでは、と仮定しています。「ChatGPTに代表されるLLMは、いまや定性的な非構造化データをコンピュータ処理できるようになっている。これから生成系AIは、定量的な構造化データと定性的な非構造化データの間(=半構造)をブリッジしていく機能を担うことができるのではないか」と今後への期待を述べました。

なお、最後のディスカッションでは、「生成系AI は、データになって”いない”ものからインサイトを導けるのか?」という問いに「現状では難しいが、表情や人の動きも情報として学習していけば可能性がある(大西氏)」。また、「セキュリティの観点から社内での導入を躊躇している」との悩みに対しては、「商用利用可能な”Llama2”を導入してはどうか(佐藤氏)」との回答が寄せられるなど、参加者と講演者のあいだで活発な対話がなされました。

【ご案内】

リサーチャーのDX/リスキリング推進シリーズ講座 第4弾は「生成系AIのグローバルトレンド ー50 を超える英文記事サーベイから生成系AIの活用トレンドをご紹介」と題し、10月25日(水)12:00~13:00に開催します。ご期待ください。

詳細・お申込みはこちら:
https://www.jmra-net.or.jp/activities/seminar/2023/20231025.html
掲載日

2023.9.21掲載