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リサーチャーのDX/リスキリング推進シリーズ講座
-第4弾 開催報告
『生成系AIのグローバルトレンド - 50を超える英文記事サーベイから生成系AIの活用トレンドをご紹介』

JMRA・キャリアアップ委員会

 

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2023年10月25日(水)12:00~13:00  ZOOM(ミーティング)で実施
講師 一ノ瀬裕幸 氏(ESOMAR GMR日本アンバサダー、JMRA個人賛助会員)
   佐藤哲也 氏(株式会社アンド・ディ社長 、JMRAキャリアアップ委員会担当理事)


セミナーの前半では、一ノ瀬氏が生成系AIに関する国際的な潮流、海外の取り組み状況を紹介しました。
その前提として、一ノ瀬氏は2020年にESOMARが発表した国際業界統計『GMR2020』の衝撃に言及します。この事件は、ESOMARがリサーチ産業を「インサイト産業」と再定義したことにより、市場規模が約2倍となり、トップランキングに今までの調査会社という概念に入らない企業が多くランクインして来たというものでした。ESOMARはマーケティング・リサーチ(従来型の市場調査)に加え、テクノロジー主導調査(オンライントラフィック/Web分析など)、レポーティング(経営コンサル用調査、業界特化レポートなど)を含めて業界を再定義したのです。

この新定義のもと、2023年9月に公開された『GMR2023』の最新の発表では、国際的な市場規模は1,279億USD、前年比3.5%の成長となりました。内訳を見ると、従来型の市場調査はインフレ率を加味すると実質マイナス成長だった一方で、テクノロジー主導調査のデータ分析が大きな伸びを見せています。テクノロジー主導調査は、2022年の時点ですでに従来の市場調査の売上を抜き去っており、調査会社が今後どのように生成系AIと関わるかは、無視できない課題となっています。このような潮流は、ESOMAR Congressでの発表のほとんどが生成系AIに言及していたことにもあらわれていた、と一ノ瀬氏はいいます。

とはいえ、欧米ではかつての生成系AIへの過度な期待や熱狂は冷めてきているとのこと。生成系AIの効果や限界も見えてきており、「今後登場する有用な生成系AIツールをどのように顧客向けにカスタマイズしていくか」というフェーズに移行してきているとのことです。

最後に一ノ瀬氏は、「生成系AIの多言語対応により日本語の壁が低くなることで、他国のプレイヤーとの競争が激化する可能性があるかもしれない」と、生成系AIが日本にもたらしうる意外な問題に言及し、締めくくりました。

セミナー後半は、佐藤氏による発表です。導入として「2023年の市場調査における7つのトレンド」というレポートを紹介しました。「7つのトレンド」とは次のとおりです。

  1. モバイルファーストのオンライン調査
  2. 社内での市場調査の増加
  3. より速く、費⽤対効果の⾼い市場調査
  4. ソーシャルメディアリスニングの使⽤
  5. ユーザー⽣成コンテンツ(UGC)
  6. AI(人工知能)/ML(機械学習)の活用
  7. 自動化の進展

これらはどれも生成系AIの関わる領域です。他にも、ESOMARが人工知能に関するタスクフォース・イニシアチブが発足させたこと、AIを活⽤したインドの市場調査スタートアップが2,500万ドルを調達したというニュースなどからも、生成系AIの影響力がいかに大きいかがうかがえます。

このような前提を踏まえて、佐藤氏は、生成系AIを活用した海外のプロダクト(ツール)について、約20例を紹介しました。プロダクトは、表情や視線データを収集できるAIの取り組みや、リサーチャーが調査目的を入れると質問票を自動作成するツール、非構造化データを効率的に収集するツールなど、多岐にわたりました。

最後のディスカッションでは、参加者から「業務効率化に関して生成系AIの研究をしている。今後ぜひ情報交換していきたい」といったリクエストがあがるなど、生成系AIをテーマに会員社間の新たな連携の可能性を感じられるセミナーとなりました。

【ご案内】

キャリアアップ委員会では、2024年1月18日(木)(時間未定)に、新保史生氏(慶応義塾大学 総合政策学部 教授)をお招きし、生成系AIやアバター等の新技術に関する法的課題を中心テーマとしたシンポジウムを開催予定です。詳細が決まり次第、JMRAのサイトに掲載いたします。ご期待ください。

掲載日

2023.11.21掲載