株式会社プラグ 松本賢二
シリーズ最終回は、株式会社グロースX 執行役員の松本健太郎先生にご登壇いただき、ビジネスの成果につながるデータ分析の思考法についてご解説いただきました。
松本先生は、多摩大学大学院にてMBAを取得後、ロックオン(現・イルグルム)、JX通信社、現職のグロースXでのご経験を踏まえて、心理学・行動経済学・マーケティング・統計学関連の書籍を多数執筆されています。また、デザインファームにて定性リサーチやワークショップもご経験されており、定量だけでなく定性分析にも長けていらっしゃいます。今回は、最新刊である「マンガでわかる 数式なしのデータ分析」を基に、数式や統計学だけではわからないデータ分析の面白さやノウハウについてお話しいただきました。
データ分析における心構えとして、「何を解決するためか」というゴールを明確にすることが重要であり、事実をどのように捉えて「何を問題とするか」を考えるところからデータ分析は始まっているというお話をいただき、知らず知らずのうちに“分析することが目的”という状態に陥りがちな我々リサーチャーにとって、身につまされる内容でした。
調査のご相談をいただく際、クライアントから明確なゴールが示されないケースはよくあると思います。例えば「売上が落ちているから何かしたい」といったものです。リサーチャーはそういった相談に対して、様々な仮説を考え、問題がどこにありそうか、解決方法のオプションとしては何が考えられるのかを整理して企画提案をしていくと思います。このアプローチがデータ分析にも共通していることを考えると、リサーチにおいて最初の企画設計が、ひいては仮説構築がいかに重要であるかを改めて感じます。
また、松本先生ご自身を対象者に見立てた調査結果の良い例と悪い例は面白かった以上に、とてもわかりやすく、「結果としての行動だけでなく、人を動かす根本要因の心にも着目する必要性」を説いてくださいました。行動や評価の背景を深堀りすることで解像度が上がり、消費者理解が深まるという経験は、多くのリサーチャーが実感されていることかと思います。
今回で『著者が語るシリーズ2024セミナー』は終わりとなりますが、全3回とも非常に多くの方にご視聴いただき、大変盛況でございました。当委員会では第三弾の開催も検討しておりますので、今後にご期待ください。
2024.10.31掲載