2021.07.14
報告:JMRA・JIS認証支援センター長 一ノ瀬 裕幸
7月7日、昨年に続く2回目のESOMAR Client Survey(顧客調査)の結果がWebinarで公表されました。実査時期があいにく4~5月のゴールデンウィークと重なってしまいましたが、日本からは34名のクライアント様からご協力を得ることができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
英文レポートは以下のURLからダウンロードできますが、その主要メッセージについて速報させていただきます。後日、報告書の日本語訳ととともに詳細をお知らせしていく予定です。
https://www.esomar.org/users-buyers-global-insights-study-2021
[ エグゼクティブ・サマリーより ]
- 調査プロジェクトの内製化率はさらに拡大し、(前回の40%から)約50%にまで至っている。
また、今後も増加することが見込まれている。
- 調査プロジェクト数も増加しており、将来的にさらに増加するとみられている。
しかし、増加する業務量に対応して調査予算の増額を同時に見込んでいるのは約半数に過ぎず、データ収集業務を伴う予算の追加を見込んでいるのは、そのまた半数に過ぎない。
(= 調査プロジェクトの構成が変容していくものとみられる)。
- COVID-19による社会経済環境の変化が、データの統合化、デジタル化、民主化など課題の多様化をもたらしている。データ収集に関わる品質管理も依然として重要な問題である。
- インサイトチームは、人員数、優先順位、利用ツールなどにおいて非常に多様である。
- 主要なスキルは依然として定量調査と定性調査である。UX、CX、ストーリーテリングといった取り組みも広がっているが、60%以上がそうしたスキルを社内には抱えていないと回答している。
- インサイトチームの優先事項はデータ供給ではなく、インサイトを提供すること、さまざまな情報ソースを統合すること、変化を促すこと、インサイトのROIを示すこと、と認識されている。
これらの結果はあくまでも全体的な傾向であり、クライアント企業ごとにバラツキが大きいと補足されています。例えば、アジア太平洋地域やFMCG業界での内製化率は比較的低めとなっているようです。
しかし、遅かれ早かれ、ある一定レベルまで内製化が進むことは不可避と思われます。業務量は増加するであろうものの、予算が比例的に増えるわけではなく、クライアントの社内リソースも限られることから、調査会社にはますますインサイトの提供が求められることになると予想されています。
(続報をお待ちください)。
以上