国際的なインサイト産業団体であるESOMARでは、昨年末に『インサイト市場発展指数(IMDI)2021』を発表しました。これは世界各国のインサイト産業の発展度合いを評価する「初の」試みで、国連の「人間開発指数:HDI」に準じた手法を採用しています。
※)国連の「人間開発指数:HDI(Human Development Index)」についてはこちら
ここでの日本の順位は、「総合22位、世界平均よりもわずかに上」との結果になりました。市場規模としては世界第7位ですから「少々低すぎるのではないか?」と思われますが、1人当たりの売上高、専門家人材の少なさが低評価につながっているようです。
IMDI(Insights Market Development Index)は、当業界の発展に影響を与える3つの側面に着目し、他国と比較した場合の当該分野の到達度合いを明らかにしようとするものです。IMDIのランキングは、その国の相対的な位置と、その国で最も強力な分野、さらに発展が期待できる分野を示します。
この指標の算定対象となったのは100以上の国・地域ですが、重要な要素の1つである「価格指数」の十分なデータが確保される国が限られているため、今回はランク上位の顔ぶれのみを見ておくことにします。
表1によると、スイスを筆頭に上位は欧米諸国で占められ、アジア圏で世界平均以上にランキングされたのはシンガポール、台湾、日本だけです。ここでは指標の妥当性評価はさておき、日本の相対的な弱点を見ておきましょう。
表2によれば、日本の評価(順位)を下げている最大の要因は、ESOMAR会員が少ないことによって「専門家人材の密度が低い」と見なされていることです。これは入手可能なデータの制約と地理的・言語的条件によるところが大きく、額面通りに受け取る必要はないかも知れません。次いで、日本経済全般についても言えることですが、国際水準からみると「1人当たりの生産性や成長率が低い」ことが足を引っ張っています。また、かつては世界最高と言われた調査プロジェクトの価格水準も大幅に下がっていることが順位に反映されていると言えます。
この結果は、あくまでも国際比較のための1つの取り組みであり、必ずしもランキングの順位に一喜一憂する必要はないと思われますが、日本の相対的位置を知る一助になりはしないでしょうか? 皆さんのご感想をお寄せいただければと思います。
詳細につきましては、レポートの日本語訳と各指標のランキング(英語原文)をご参照ください。
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2022.1.11掲載