JMRAが参画している国際的な市場調査業界団体であるGRBN(Global Research Business Network)では、2021年10~11月にかけて「多様性・平等性・包括性(DEI: Diversity, Equality & Inclusion)」に関するグローバル調査を実施しました。ご協力をいただいた皆さまには、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
DEIは、欧米を中心にクライアント企業に最重視されるマーケティング課題の1つとなっており、リサーチ・インサイト業界が今後どう対応していくべきか真摯に検討し、向き合うことが求められています。
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この調査は、日本を含む世界13カ国で、リサーチャー向けと一般勤労者向けのオンライン・アンケート形式で実施され、多様性・平等性・包括性に関する市場調査業界の現状と課題、一般勤労者の認識との差異等について分析しています。
本レポートはpptで200ページ以上にわたる膨大なもののため、ここでは最も主要なポイントのみを記し、日本の特徴を含む詳細については今後のJMRAメルマガ等でご紹介してまいります。
1.調査設計(回収数)
2.調査結果の主要なポイント
13カ国全体の結果を概観した特徴は以下の通り(日本独自の分析は後日)。
- 市場調査業界で働く人々は、DEI面の懸念や差別のために仕事を辞めようと考えたことが少ない(一般勤労者の4割程度に対し、2割)。
- 市場調査業界で働く人々は、一般勤労者よりも「誰もが業界で平等な機会や報酬を得ているわけではない」と考えていることが多い (一般勤労者23%に対し、30%)。
- 市場調査業界で働く人々は、職場での機会均等や評価について否定的ではないが、従業員の多様性については否定的である。2割の人が、DEI面の問題に組織が一致協力して取り組んでいるとは考えていない。
- 市場調査業界で働く人々の半数は、職場で直接差別を受けた経験があり、これは一般勤労者 (6割) よりもやや低い。
- 市場調査業界で働く人々の21%は、組織による不当な扱いを受けた個人的経験がある (一般勤労者の29%よりは少ない)。また、7%が個人的にハラスメントを受けた経験があるが、これは一般勤労者 (16%)よりもかなり低い数値である。
- 職場における差別の理由としては、年齢と性別が最も多く挙げられた (それぞれ12%と14%)。
- 育児休業を取得している人の割合は国による差がなく、ほぼ6割であり、一般勤労者 (5割) よりもやや高い。しかし、育児休暇を取った人の1/4は、そうすることでキャリアアップの面で不利になると考えており、これは一般勤労者よりも高かった。
国によって社会的・文化的背景が異なるため、これらの結果を全体として評価することには困難が伴いますが、市場調査業界において差別的な問題はそれほど大きくはないように見受けられます。
今後は、主に日本と欧米諸国との差異に着目しつつ、詳細を確認していきたいと思います。
2022.2.10掲載