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さぶたいとる

国際潮流シリーズ第3弾:APRCモンゴル大会参加報告
●コロナ禍からの復調続くアジア-「カエル跳び」を目指し、AIの動向に高い関心


本文

APRC日本委員 一ノ瀬 裕幸

1.世界に学ぼうとする強い意欲

今年のAPRC Conference 2023は、10月12・13日にモンゴルのウランバートル市で開催されました。街の様相はおおよそ「10年前の中国の地方都市」といった印象で、急速な経済成長を遂げつつある自信と活気に満ちていました。
13日の大会にはモンゴルのリサーチ従事者数をはるかに上回る800名以上の参加者(大半は20~30代とみられる若人)が集い、国を挙げて市場調査/インサイト産業の振興を後押ししようという熱気が感じられました。私も政府の経済開発庁の方からご挨拶を受け、日本経済や市場調査業界の状況などについて質問されましたし、JICAから派遣され、日本企業とモンゴル企業とのビジネスマッチングに取り組んでおられる若い海外協力隊員(女性)からも話しかけられ、率直なところかなり驚きました。
また、12日の午前中に行われた市場調査の基礎を学ぶWorkshopにも、様々な業界から150名以上の若い聴講者が詰めかけ、「この国の未来はきっと明るい」と感じられたものでした。

2.先進技術を取り入れて「カエル跳び」を目指す

大会に話を戻すと、発表内容の多くが世界各国で展開されているAIをはじめとする新しい手法や考え方を取り入れる試みで占められ、Leap Frog(カエル跳び)で一気に先進国レベルに追いつこうとする気概に満ちていました。特に、オーストラリアの登壇者が紹介した、スマホを用いて「AIモデレーターがチャットで定性的質問を繰り出し、大サンプルを獲得することで定量的な分析にも耐えうる」アプリが高い関心を集めていました。少なくとも中進国以上の経済基盤が整ってきた国々では、競争は横一線となっている印象を受けるところとなりました。

なお、モンゴルにはまだマクドナルドやスターバックスは進出していないそうです。カルフール(小売:フランス)とエレクトロラックス(家電:スウェーデン)が大きな看板を掲げていましたが。また、街のスーパーやコンビニエンスストアには中国製や韓国製の商品が多く、地元の産品は乳製品(チーズ等)など限られた領域での強みにとどまっているようです。 日本企業は自動車(トヨタが圧倒的なシェア)以外あまり目立ちませんが、空港と市街地を結ぶ道路沿いには「新モンゴル日馬富士学園」という日本語のネオン看板が・・・。日本で活躍した(している)力士はやはり英雄であり、憧れだそうです。

なお、12日午後に開催されたAPRCの協会代表者会議で各国の状況が報告されましたが、どの国でもコロナ禍の直撃を受けた2020年の落ち込みからは(中国を除いて)回復し、2021→ 2022年はおおむね5%~10%程度の名目成長を果たしたとのことでした(日本も名目9.9%成長)。

◎ 次回は久々の南半球へ

次回は少し開催間隔が詰まりますが、南半球のニュージーランド(オークランド市)で ”The Future of Insights” をテーマに、2024年3月18・19日に開催されます。日本では繁忙期と重なることがやや難点ですが、アジア諸国の動向に関心をお持ちの方々は、ぜひ参加をご検討ください。

以上

2023.11.21掲載