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たいとる

Withコロナ時代に向けたリサーチ業界の準備 第6回

ほんぶん

~ データの中からストーリーを見つけ、伝える ~

JMRAインターネット調査品質委員
リサーチ・コンサルタント
岸田 典子

納品した調査レポートがクライアントに十分活用されないままになっていませんか?
これは一見クライアントの問題のようですが、リサーチャー側も改善点について振り返る必要があります。単調で退屈、言いたいことがわかりにくいものになっていなかったか、クライアントの課題に対しどのような手を打つべきなのかを明確に答えていたのかなど。
でも、もっとクライアントに活用されるには、いったいどうすればよいのやら・・・。慣れ親しんだやり方を変えるのは難しいものです。
厳しい経済環境の中、活用されない調査はすぐに予算を切られ、そのプロジェクトを失うことに直結します。「つまらない、退屈」と言われるレポートからクライアントから注目され、役に立ったといわれるアウトプットに変えてゆくにはどうしたらよいのでしょうか。

リサーチ業界では、今すぐ役立つノウハウの強化、新しい技能の習得が必要になっています。初心者向けだけでなく、中堅以上のリサーチャーも継続的に学び、知識をアップデートできる研修が求められています。JMRAではそのような課題に応えるオンライン講座を用意しています。

レイ・ポインター氏のオンライン講座「『データ』から『ストーリー』を『見つけだす』&『伝える』」(2020.10.20・22)

“Finding the story in the data” (データからストーリーを見つけだす)と“Communicating the story from the data”(データの中のストーリーを伝える)の前編・後編からなるレイ・ポインター氏のワークショップが、10月20日(火)22日(木)の午後、日本に向けてオンラインで実施されます。
この講座は、第5回の連載でもご紹介したイギリスから世界に発信しているリサーチ業界団体である MRS(Market Research Society)の研修プログラムにも入っているほか、世界中で開催されている人気講座で、昨年JMRAでも実施され好評を博しました。このワークショップの構成自体も、ストーリーを『見つけだす』そして『伝える』ノウハウを踏襲する形で実施されており、実践的でわかりやすいものになっています。

私が最近経験した某ビッグデータ企業の仕事は、まさにデータの中からストーリーを見つける仕事で、このワークショップで学んだことを思い出しました。データの中からストーリーを見つけだし、伝える能力は、AI化やマシンラーニングが進んだ世の中になってもずっと残るリサーチャーの能力といえます。このような能力が、教え、学ぶことのできるノウハウとして研修プログラムになっているというのはすごいことではないでしょうか。
この講座はゆっくりしたわかりやすい英語で進みますが、資料は日本語対訳付き。通訳ではありませんが日本語のサポートもつきますので、英語に挑戦しつつ、内容の理解もしっかりできるようになっています。
リサーチ業界においても、英語で自ら情報をとりに行くことがこれからますます重要になります。そのチャレンジとしても意味のある機会になると思います。

詳しくはこちら
https://www.jmra-net.or.jp/activities/seminar/2020/20201020.html

リサーチのグローバル・トレンド

9月14日(月)から17日(木)まで、世界最大のデータ・リサーチ・分析・インサイト業界のグローバル団体であるESOMARの年次カンファレンスであるESOMAR Insight Festival 2020 がオンラインで開催されました。
今回はJMRA会員社と、事前調査にご協力いただいたクライアントの方であれば無料で視聴登録できましたので、リサーチ業界のグローバル・トレンドを体感された方も多かったのではないでしょうか。

DIYリサーチの広まりや自社マーケティング・システムの高度化によって、クライアント自らがリサーチを企画し実施するケースが増えています。クライアント向けの初級リサーチ講座のニーズが高まっている一方で、調査会社の提供するリサーチには、よりクライアントの課題に応える付加価値が求められています。
世界のリサーチ業界のトレンドとしては、リサーチのROIが注目されています。つまりリサーチがどれだけクライアントのビジネスのよりよい意思決定に貢献し、無駄な金額をかけずにすんだのかという検証が重要になっています。調査がどれだけの金額的な価値を生んだのかを自ら証明しなければならなくなってきたということです。コロナ禍で今まで通りの調査ができない中、クライアントの意思決定の判断材料としてどれだけ貢献できるのかという問題に向き合うことが必要になってきています。

上記のレイ・ポインター氏は、ESOMAR評議員であるほか、ESOMARのGlobal Market Researchや価格調査などの業界レポート執筆陣の一人でもあり、彼の発信する世界のリサーチ業界のトレンド情報は、いつも注目を集めています。
ESOMARでの発表や海外リサーチ情報、日本に関連したトピックスについては、次号でご紹介したいと思います。

2020.9.17掲載