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たいとる

Withコロナ時代に向けたリサーチ業界の準備 第12回

さぶたいとる

オンラインカンファレンス

ほんぶん

JMRAインターネット調査品質委員
リサーチ・コンサルタント
岸田 典子

コロナ禍で、カンファレンスのような大型イベントのオンライン化がすすみました。2020年のJMRAのカンファレンスもオンラインで開催され、ESOMARをはじめとする海外のカンファレンスもオンラインで実施されました。
企業の営業活動の一環としても、オンラインイベントが積極的に活用されています。顧客のところに1件ずつ出張訪問して営業するのと比べ、全国の有望顧客に対して一気に情報提供することが可能なオンラインイベントは、今後もますます活用されていくことが予想されます。今回はオンラインイベントの方法とプランニングの留意点についてお伝えします。

1.プラットフォーム
*Zoomウェビナーの場合

多人数に同時に情報提供するイベントに適しています。カンファレンスの場合は、基調講演のように多くの人が聴くコンテンツに向きます。参加者は顔出しをせず、チャットやQ&Aのみなので、「耳だけ参加」のような気楽な視聴が可能です。また運営側は、参加者管理をそれほど気にせず、プレゼンテーションに集中できます。広く拡散してもよいコンテンツであれば、YouTubeなどのライブ配信に繋げることもできます。
一方で、参加者との直接のコミュニケーションは少ないため、ウェビナー終了後にどのように参加者との関係をつないでゆくのかについても検討するとよいでしょう。例えば、参加者限定の資料提供や個別相談のアポイントの案内メールの送付なども可能です。アンケートに回答いただいた方にのみ資料提供する方法も検討に値するでしょう。

*Zoomミーティングによるワークショップの場合

参加者とのインタラクティブなコミュニケーションを取り入れることも、情報提供型にすることも自在にできるのがZoomミーティングです。
オンラインイベントは、リアルタイムで視聴することに価値があると感じられるコンテンツの方が盛り上がります。そういった感覚を提供できるのは、インタラクティブなやりとりやブレイクアウトルームによる参加者同士の対話を取り入れたオンラインワークショップです。

2.プログラムの構成
*全体構成

オンラインイベントのコンテンツが聞くだけでよいものばかりになると、参加者は受け身になり、退屈に感じるようになります。ウェビナーやワークショップのような参加型コンテンツ、または前回ご紹介した会場とオンラインを一体化させるハイブリッドオンラインのようにコンテンツの種類に幅があるとイベントをより盛り上げることができます。目的と内容によって使い分けるとよいでしょう。

*ブレイクアウトルームを活用した企業ブースの作り方の一例

最近は、オンラインイベントの商談専用プラットフォームも販売されていますが、Zoomのブレイクアウトルームを工夫して企業ブース風に運用することも可能です。

  • 最初にメインルームで、参加企業の概要を全参加者に紹介します。参加者がブレイクアウトルームを自由に移動できる設定にし、参加者にブレイクアウトルームの移動方法を説明します。
  • 参加企業の名前をつけたブレイクアウトルームを作り、各企業のプレゼンターをブレイクアウトルームに割り振ります。各企業のプレゼンターがブレイクアウトルーム内で参加者に商品・サービス紹介を行います。
  • 参加者は自由にルーム間を移動して各社のプレゼンテーションを聞き、質疑応答をします。

参加企業にとっては、単に動画広告を流すよりも、参加者と直接対話をし、反応やフィードバックが得られる点でメリットがあります。各企業のプレゼンターは、参加者数に合わせ、リアルのカンファレンス会場のブースと同様にプレゼンすることも、小規模な商談会のようにもできます。参加者は自ら選んで話を聞きたい企業の発表を回ることができるので、よい情報収集の機会となるでしょう。あとは、オンライン参加者が話を聞きたいと思う内容を提供できるかという点が課題になりそうです。

*複数トラックの利用

小規模の研究発表が数多くある場合、2~3のトラックを同時に走らせることがあります。参加者は、同じ時間に開催される複数のトラックからコンテンツを選ぶことができます。例えば、参加人数制限のあるワークショップと人数制限のないコンテンツを同じ時間帯で開催することで、入れない人がでないようにすることができます。
ただし同時開催の数が多いと見たいものが重なって見られないとか、1つ1つのコンテンツへの参加者数が少ないなどの問題が起きる可能性があるので、参加者数や全体とのバランスを考えてプランをたてることが大切です。

*息抜きスペース

オンラインのカンファレンスだからと諦めがちなのが「交流」ですが、複数トラックの1つとして会員同士のフリートークのためにZoomのミーティングルームを用意するケースもあります。
ワークショップの感想を話し合ったり、ひょっこり参加して誰かとおしゃべりしたりするための息抜きのスペースになります。ワークショップ終了後に、もっと話したいという人が集まることもあります。
参加者がホストに依頼して、ブレイクアウトルームを作ってもらうこともできます。自発的に集まるほど関係性ができていない場合は、何かのテーマをもった交流会として企画するのも一案です。

*休憩時間

コンテンツの間の休憩時間は、少なくとも20分以上とることをお勧めします。
直前の回の参加者をオンラインミーティングから退出させ、次のプレゼンターの準備時間をとる必要があります。開始前にプレゼンターに、音声マイク、資料共有に問題ないかの最終確認をしてもらいます。

3.進行のプログラム作り

進行のプログラムは、リアル開催と同様に運営委員の役割分担を決め、スケジュール管理をします。
オンラインイベントではことに複数名の協同作業になるため、誰が、いつまでに、何をするのか、イメージを膨らませ、細部まで気を抜かず、リハーサルをきちんとすることが大切です。
JMRAにおいても、オンラインイベントの企画が決まると、役割分担・進行チェックリストのファイルを関係者に共有して準備をしています。

 

オンラインイベントは、自由に発想して創っていく楽しみがあります。
JMRA会員社の今後のオンラインイベントやオンラインカンファレンスが、より充実したものになるよう期待しています。

 

2021.3.12掲載