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さぶたいとる

国際的な市場定義拡張への取り組み進む
― GRBNが「インサイト産業の市場再定義と推計会議」を開催

ないよう

JMRA・JIS認証支援センター長
ESOMAR GMR日本アンバサダー
一ノ瀬 裕幸


5月26日、世界各国の市場調査協会の連合組織であるGRBN*1による「インサイト産業の市場再定義と推計会議」がオンラインで開催され、日本を含む15カ国から21名が参加しました。
*1 GRBNは、APRC(アジア太平洋)、EFAMRO(欧州)、ARIA(南北アメリカ)、AMRA(アフリカ)の4大市場調査協会組織の連合体で、JMRAはAPRCの一員として参画しています。

議題は、昨年ESOMARが発表したインサイト産業の新定義*2を世界各国市場に拡張し、より適切な市場規模を推計するためにどうすべきか、というものでした。
*2 ESOMARの新定義の詳細については、「イノベーション・キャスト第3回」をご参照ください。

事前に各国協会向けに行われたアンケート調査では、「必要性は感じているものの、どこから手を付けたらよいか困惑している」といった回答が多く寄せられたと聞いています。それぞれの国情は異なりますが、今回の会議を通じて推進のためのヒントが得られたのではないかと思われます。

基調報告として、市場拡大の推計で先行している米国(Insights Association会長のMelanie Courtright氏)と英国(Market Research Society代表のDebrah Harding氏)から、取り組み経緯の発表がありました。
市場拡大の中心となった米国では、ESOMARとOutsell社の全面的協力を得られたことに加え、(旧CASROから)協会名を「インサイト協会」に変更したことで、関連する企業の関心を呼ぶところとなり、それが後押しになった面がある、とのことでした。日本でも検討してみる価値があるかも知れません(ただし、今では「Insights and Data Analytics」とした方がよりよかったのでは? といった議論もあるそうです)。
市場規模を40%拡大させたという英国では、クライアントサイドからのアプローチを試みたこと、PwCやKPMGといった会計コンサル企業の協力を得られたことが大きかったそうです。また、連携を模索した相手方との共同セミナーを仕掛けたことなども、功を奏したとのことでした(なお、MRSは伝統とブランド力があり、協会名の変更は難しいと言っていました)。
両国ともに、厳選された専門家チームを組織し、集中的に調査・分析を行う必要があることを強調していました。

参加国は、APRCから日本、中国、台湾、豪州、マレーシア、ARIAから米国、カナダ、メキシコ、コロンビア、ペルー、ブラジル、EFAMROからは英国、オランダ、スイス、フィンランドでした。(今回、アフリカからの参加はありませんでした)。

今後、JMRAでも産業調査に造詣の深い方々によるプロジェクトチームを編成し、2年以内に新推計の枠組みを確立させたいと考えています。関連する皆さまにもご協力をお願いすることがあろうかと思います。その折にはぜひご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

以上

2021.6.14掲載