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さぶたいとる

従来型調査市場の成熟基調変わらず、引き続きテック領域が牽引
-ESOMAR『Global Market Research 2024』レポートより

画像

ないよう

ESOMAR GMR日本アンバサダー
一ノ瀬 裕幸


ESOMARの『GMR (Global Market Research) 2024』レポートによれば、2023年の国際的なインサイト産業の市場規模は1,424億USドルと評価されました。2024年末までには1,500億USドルを超えると推定されています。ただし、成長を牽引しているのは引き続き「リサーチソフトウェア(旧テクノロジー主導調査)分野」で、従来型の「確立された市場調査領域」は実質横ばいとなっています。なお、主要3セグメント間でも相互に重なり合う(越境する)部分があり、その境界線はますます曖昧なものになりつつあります。

図表1は、主要3セグメント別の市場規模と伸び率を示しています。

  1. 確立された市場調査領域(539億USドル)
    市場の成熟を反映して4.6%の控えめな成長(実質では-0.3%)となりました。今回、売上高の65%がフルサービスのリサーチによるもので、残りは他のセグメントと重なりあっていることが明らかになりました。
  2. リサーチソフトウェア(560億USドル)
    高成長の牽引役であり、世界的な金利の上昇に伴って投資が減速する中でも12.4%の成長を遂げています。中でも、デジタルデータ分析とセルフサービス・リサーチプラットフォームの顕著な成長(共に14.4%)が強調されています(図表2参照)。
  3. レポーティング(326億USドル)
    コンサルティング企業を含み、6.5%の成長を記録しています。

 

図表1 主要3セグメント別市場規模と伸び率(2022→2023)

図表2では、8セグメント別のより詳細な数値をご確認いただけます。

図表2 8セグメント別市場規模の推移と伸び率(2022→2023)・シェア

図表3は、主要3セグメント間の重なり合いをイメージしていただくためのものです。従来型の市場調査会社の中にも、例えば調査データと合わせてセルフサービス・リサーチプラットフォーム(システム)を提供したり、コンサルティングサービスを提供したりする企業が相当数出てきていることがわかります。

図表3 主要3セグメント間の重なり(2023)

なお、国際的な物価高騰に伴う金利上昇の影響により、M&Aなどに代表される当業界への投資(資本流入)は(いったん?)鈍化したと報告されています。

注)ESOMAR『Evolutionレポート』とのデータの相違について

さて、本メルマガ8月号の記事「第49回経営業務実態調査結果解説(後編)」でご紹介したESOMAR『Evolutionレポート』のデータから、数字が変わっていることに気付かれた方がおられるかも知れません。はい、確立された市場調査領域の数字が、1,290億USドルから1,424億USドルへと、134億USドル(約10%)増加しています。
(8月号の記事はこちら)→
https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/20240827.html

ESOMARに照会したところ、『Evolutionレポート』はいわば「トップダウン」式で、世界の上場企業を中心に収集・集計した数値であるのに対し、今回の『GMR 2024』はそこに各国協会から集約された中小規模層のデータを加味・精緻化した「ボトムアップ」の結果とのことでした。従いまして、基調が変わるものではありませんが、今後の国際的なデータは『GMR 2024』を正として塗り替えることにいたします。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

また、『Evolutionレポート』に続いて『GMR 2024』でも、旧来の「テクノロジー主導分野」を「リサーチソフトウェア分野」という表現に変更しましたので、今後は後者に合わせることにいたします。

 以上

2024.11.19