本文へスキップします。

フリーワード検索 検索

【全】ヘッタリンク
【全・SP】バーガーリンク
共通いめーじがぞう

エディタV2

「トランスフォーミング インサイト」を拝読して

株式会社ジャパン・ダイレクト・リサーチ 
代表取締役 中野 教子

「トランスフォーミング インサイト」の翻訳を拝読いたしました。このように事業会社のインサイト部門にスポットライトを当てた書籍は稀で、メーカー勤務時代を振り返り、頷く箇所が幾つもありました。

特に印象に残った点は、インサイト部門のコミュニケーションの見える化です。企業にとって、どれだけ顧客が利益をもたらしてくれるか、つまり生涯顧客価値が重要なのですが、顧客の行動や意識のリサーチ情報等は、売上高や利益のような数値として捉えにくく、ふんわりとした「あれば良い」として捉えられることが多々あります。この本では、インサイト部門の役割として、顧客のインサイトがどのように経営指標に影響を与えるか、インサイト情報を数字等での可視化する重要性を説いています。

私自身の経験を振り返ると、顧客行動や意識に関する調査報告は、「なるほど」と興味を持たれるものの、しばらくすると忘れ去られることが何度かありました。振り返ると、顧客行動や意識がどのように事業の収益に影響するか、経営者目線での「情報の翻訳」が必要だったと感じています。

また、インサイトファーミング(インサイトという種をまき、育てる)も印象に残った内容でした。経営層の指針のもとでインサイトチームが発足したものの、顧客インサイトの重要性が組織に浸透しておらず、経営層が変わるとインサイト部門が縮小・消滅してしまうケースもあります。顧客インサイトの重要性を組織文化に根付かせるためにも、地道に全社的にインサイトの理解と活用を根付かせることが重要であると再認識しました。

このような内容は、マーケティングリサーチを事業会社のビジネス戦略として位置づけるためにも重要であると感じています。ぜひご一読されることをお勧めいたします。

目次