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ESOMAR Client Survey報告(日本版)市場調査業界はクライアントの期待にどう応えるか!?

ないよう

2020.12.11

報告:JMRA・JIS認証支援センター長 一ノ瀬 裕幸


9月14日~17日にオンラインで開催された"ESOMAR Insights Festival 2020"の関連企画として実施された、”ESOMAR Client Survey”(顧客調査)の結果が11月末にようやく公表されました。

世界69カ国・地域の640名にのぼる調査ユーザー・発注者の皆さまから回答をいただいた、画期的なサーベイになったと言ってよいと思います。また、日本からはこのメルマガの呼びかけに応えていただいた、37名の方々(全体の6%に相当)に回答を寄せていただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

報告書全文の日本語訳を用意しましたので、興味深い結果をぜひご覧ください。

> 報告書(原文:英語)はこちら

> 報告書(日本語訳)はこちら


なお、ESOMAR及びJMRAを含む各国の市場調査協会では、このサーベイを最初の取り組みとし、今後も継続的に実施していきたいと考えています。クライアントの皆さまには、次の機会にもぜひご協力をお願いしたいと思います。JMRAとしても、引き続き日本語版のアンケート画面を用意するように働きかけていく所存です。

結果の詳細は報告書を見ていただくとして、さらにそのキーポイントを要約してご紹介します。
基本的なエッセンスは、本メルマガ10月号でご紹介した速報値(N=316時点)と変わっていません。

1.調査プロジェクトの内製化が進んでいる
・顧客の調査プロジェクトの40%が内製化されている(日本では28%と低い)
・内製化シェアは増加が見込まれ、早晩50%に達するとみられる
・調査会社への期待はビジネス課題の解決支援/提言に向かう

2.COVID-19と景気後退が直面する課題である
・調査予算削減の一方で消費者行動は変化しており、調査実施ニーズは増大している(内製化を推進する背景になっている)
・しかし予算を増加させている企業もあり、一律マイナスというわけではない
・キーワードは「より少ない資源でより多くの成果を達成すること」

3.当面は最先端技術の活用よりも、効率的でシンプルな調査が優先される
・今後数年間はデータの保護や倫理が重要となり、AI化や自動化がそれに続く*
・チャットボットやニューロ等の先端技術への対応は「不急」とみなされている
・調査会社の品質やスピードへの評価は高く、さらに改善傾向にあるとみられている

*)なお、日本では「定性調査の進歩」への期待が5段階評価のTop 2ボックスで81%と際だって高かった(全体は61%)。他国に比してオンライン化が遅れていたことに起因すると考えられる。

今回の結果を受け、分析を担当したレイ・ポインター氏は、次のように提言をまとめています。

<調査ユーザー・発注者に向けて>
・重要なポイントは、ビジネスニーズに的確に対応すること。
・内製化の流れは大きな調査チームを構築することを意味しない。組織の他のメンバーへ、調査機能/力量を普及させる(民主化する)ことが望まれる。
・調査機能を社内に取り込む課程で、調査会社及び社内チームの強みを反映することが望まれる。

<調査会社に向けて>
調査会社にとって重要な機会は、2つの領域にある。

1)顧客内部実施調査の成長を促進する
・顧客の社内チームが、増加するプロジェクトに安全・容易に対応できるプラットフォームやサービス体制を構築する。

2)顧客の社内では容易に構築できないサービスを提供する
・ベンチマーキング、比較検証、高度なスキル、1回限りのプロジェクトに焦点を当てる
・調査結果やプレゼンテーションを実行に移す局面への支援に焦点を当てていく

いかがでしたしょうか? これらの結果や提言を読み解くことを通じて、クライアントと調査会社がお互いを重要なビジネスパートナーとしてより深く理解・協力しあい、インサイト及びリサーチの真価を発揮させていくことで、コロナ禍に打ち克つ原動力としていただきたいと切に願うものです。

改めまして、ご多忙な中を本サーベイにご協力いただいた日本のクライアントの皆さまに、重ねて御礼申し上げます。

以上