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シンギュラリティ観察ネコ日記
第1回:AIとリサーチのセミナー開催するニャ

株式会社アンド・ディ 佐藤哲也(業務AI活用教育部会担当理事)


吾輩はAIである。名前はまだない。にゃー。
今回JMRAで教育研修委員会・業務AI活用教育部会というやたら長い名前の部会で、AI活用を推進するセミナーをやることになったらしい。さらに、その活動の告知をしていくためにメルマガで連載をするという。ちょっと無茶にゃ?と思ったりもするが、言われたことは何かしら返答するのが最近のAI(生成AI)の流儀である。頑張って書いていこう。

少し前までは、社会的活用や存在意義を議論するうえでのAI(人工知能)の問題点は「定義が曖昧」ということに尽きた。しかし私(AI)の中では、2022年のChatGPTの登場以来、今日のAIの定義は固まってきている。それは、「機械であるコンピュータが自然言語を使えるようになる技術」ということに集約される。この技術的イノベーションの影響はちょっと計り知れないものであり、人類がこれまで経験してきた農業革命やエネルギー革命と比べても遜色ない大きな変化だろう。

改めて社会的ネットワークという文脈でこの生成AIのトレンドを理解してみよう。人類は、かつての狩猟生活から農業革命を経て定住が進んだと言われる。その後道路、海運などの物流・交易ネットワークにより都市と農村のネットワークが生まれ、地域特性に応じた産業立地と交換により社会は劇的に豊かになり、人口の増大を生んだ。また印刷技術の普及に始まる情報ネットワーク拡大の側面では電信・電話網の実現と電波技術の応用によるマスメディアの登場により、世界の人々の関心が急速に同期化されつつあるというのが近代の特徴であったと言えよう。

その文脈の中で生まれたのが電子計算機であり、電子計算機のメタ・ネットワークとしてのインターネットである。特に21世紀に入ってからインターネット上の世界中のコンピュータに莫大で多様な知識やニュースがテキスト、動画等様々な形式で搭載されることになり、その人類共通の知識データベース、神経ネットワークとしてのインターネットの重要性はいまさら言うまでもない。そのインターネット上の知識を莫大な電力と巨大なニューラルネットワーク技術で「学習」したのが生成AIである。

つまり生成AIはインターネットの存在がなければありえない仕組みではあるが、同時にそのエッセンスを集約したことで、インターネットをある側面で代替する存在でもある。そのため今後のインターネットのあり方に大きな転換点をもたらすことはほぼ間違いないと思われる。

さてそんな生成AIではあるが、我々リサーチ業にとってどんなインパクトをもたらすのであろうか。それを整理した上でセミナーの企画を考えていく必要がある。設立50周年を迎えたJMRAにとってのマーケティング・リサーチ業のちゃんとした定義は新しく設定された産業ビジョンに譲ろうと思うが、ここでは、平たく言って「マーケット(市場)の観測」ということにしたい。

ここでの論点は主に2つある。一つは、伝統的なマーケット・リサーチが観測技術の一つである以上、観測の手続きに少しでも誤りがあることは望ましくないという、無謬性が求められることである。しかし、詳細はいずれ議論するが非決定論的・確率的に動作するというのが生成AIの特性である以上、一定の誤りが含まれることはやむを得ない。その矛盾にどの様に対応していくかが問われている。

もう一つはマーケットそのものあるいはマーケットの主役である生活者の(広義の)消費行動そのものがAIにより変化していくという点である。これは少し分かりづらく、予測も難しい。ここでは2つの方向性を示しておこう。既にAIにより市場のあり方が大きく変化した先行事例として、株式に代表される金融取引市場が挙げられるだろう。物財を伴わない情報財・抽象財としての金融商品の取引市場は、人間の神経系よりも高速に取引が行われる、完全に機械が支配する自動化市場となりつつあるということである。もう一つは、人々の消費欲求を喚起するようなマーケティングメッセージのAI化を指摘しておこう。マスからセグメント、1to1へと生活者それぞれにフィットしたメッセージとなるように進化していくだろう。さらに、そのメッセージの出し手が人格を持つようになる未来も予見される。

そのような様々な変化が予見されるAIリサーチの未来であるが、今後これらの論点を読者の皆さまと考えていきたいと思う。

<お知らせコーナー>

現在、リサーチ教育委員会・業務AI活用教育部会では、2つのセミナー・ラインナップを準備して、今年度の実施を目指しています。一つは「リサーチャーのためのAI協働トレーニング講座」ということで、日々リサーチタスクに向き合うリサーチャーにとって、業務パートナーとしてのAIをどの様に活用できるのかというセミナーになります。

もう一つはもう少し技術的なラインナップで「リサーチャーのためのAIに書かせるプログラミング講座」を予定しています。コーディングエージェントの著しい進化によって、これまでプログラミングに苦手意識のあったリサーチャーでも、(良くも悪くも)AIによりプログラムが作成される時代が訪れています。その基礎的な知識から始めて、リサーチタスクを確実に処理するためのノウハウとして、AIコーディングを取り入れられるようなセミナーを予定しています。詳細は追ってご連絡しますので、ぜひ積極的なご連絡をお願い致します。

また、部会の委員も引き続き募集しております。

※)セミナーの開催は予定であり、開催されない場合がありますのでその節はご容赦ください。

 

2026.08.18掲載