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第50回 経営業務実態調査結果解説<後編>

解説1

インサイト産業市場全体は前年比106.7%と好調を維持、安定成長へ移行か?

ESOMAR GMR日本アンバサダー 一ノ瀬 裕幸


インサイト産業8セグメントの概況(2024年)

jmra第50回経営業務実態調査結果報告の続編です。
報告書はこちら=> https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/

ESOMAR提唱8セグメントへの拡大推計を行なった結果、インサイト産業全体としての日本の市場規模は4,799億円、従来型調査市場比で1.76倍、前年比106.7%と見積もられました。

従来型市場調査セグメント(2,725億円)が105.1%と復調したことから、そのシェアは前年の57.6%→ 56.8%と微減にとどまりました。それに対して、昨年まで2ケタ成長を続けていた新セグメント計の伸び率108.8%は、好調を維持してはいるものの、期待されたほどではなかったとみることもできると思われます。
残念ながら今期は、ESOMARの詳細レポートの発表が本稿の執筆期限に間に合わず、国際的な動向に照らした分析ができなかったのですが、GMR 2025の速報では次の点が指摘されています。

  •  デジタルデータ分析を中心とする調査ソフトウェア部門は依然として主要な成長エンジンであるものの、テクノロジー業界自体の減速とAIの進歩による破壊的な圧力を受けている。
  •  経営コンサルティングなどのレポーティング部門は、マクロ経済の不確実性が増大する中で需要が伸びており、プラスの勢いが継続している、
  •  従来型市場調査部門は低めの成長率ながらも堅調を維持している。しかし、AIおよび他のセグメントの急速な発展、データ品質に関する問題への対処が迫られる中、先行き不透明感がぬぐえない。

 

日本市場の数値も、世界の潮流の影響をある程度受けた結果になっているものと考えられます。

なお、引き続き外資系企業(日本法人)の情報収集が難しく、残念ながら今回もテクノロジー主導分野の推計は前進していません。関係する企業・組織・団体からの情報提供ならびにご協力を期待しています。

※)今回ご紹介した推計値は『日経業界地図2026年版』(2025年8月23日発行予定)にも引用される見込みです。

インサイト産業8セグメントの概況(2024年)

ここでは、従来型市場調査部門(h. 確立された市場調査+g. サンプルパネル提供)の最新ランキング上位20社のみご紹介しておきたいと思います。なお、実際には上位社を中心に「d. デジタルデータ分析」や「c. ソーシャルリスニング・コミュニティ」にも進出している企業が多く、境界はますます曖昧になっています。

この表によると、上位6社まででグローバル市場全体の42.4%、上位10社で47.2%のシェアを占めており、近年のM&Aなどを通じて寡占化が進んできたことを改めて感じさせられます。 日本企業では、10位にインテージ、18位にマクロミルがランクインしています。


JMRA産業統計委員会では、今後も統計の精度向上に努めてまいります。関係企業・団体の皆様からの情報提供、ご協力をお待ちしています。

以上

2025.8.19掲載

第50回経営業務実態調査結果解説<前編>はこちら=> 

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=> 過去の経営業務実態調査報告書はこちら(報告書のページへ)