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開催報告:
2025年度 AI・イノベーションセミナー第3回
リサーチツールにおける自動化・AI活用の現在(12/4)

リサーチ・イノベーション委員会


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JMRA リサーチ・イノベーション委員会では、12月4日に第3回AI・イノベーションセ ミナーを開催し、JMRA理事の佐藤哲也氏(アンド・ディ)が登壇しました。

1.自動化・AIの概念整理

今回はまず、何気なく使われている「自動化」や「AI(人工知能)」の概念の捉え方について整理が行われました。単純作業の自動化は進められるべきですが、データの解釈や意思決定などの「人間の価値判断が重要な部分」は自動化すべきではなく、そもそも困難であること、「AIという言葉の定義」があいまいなため、「機械学習」や「大規模言語モデル(LLM)」などの具体的技術名で議論すべきことが強調されました。

2.リサーチ現場でのAI活用事例

2025年10月2日に開催されたJMRA アニュアルカンファレンス2025でも、多数のセッションでAIによるリサーチの変化が取り上げられました。振り返ってみると、自由回答の自動分類や(OCRを含む)高速化、調査票設計支援による効率化、分析レポート作成のアシスタント機能などが代表例と言えるでしょう。ただし、AIを使わない自動化の余地がまだまだ大きいことにも留意が必要です。パッケージ化が可能な定型調査の自動化が最初に取り組むべきテーマとも言えます。

3.AI活用における課題

リサーチにおける生成AIの活用ポイントとして、大規模言語モデルが「確率的(自然)言語計算機」であることを理解した上で、ハルシネーション問題とどう戦うかが課題であることが指摘されました。AIのアウトプットを正確に判断し、誤りを見抜く(=修正する)エキスパートの能力が不可欠となります。網羅的な情報収集、検索範囲の広さ・速さといった生成AIの強みを生かす、基礎的な教育が必要との問題提起がなされました。
また、AIと倫理的・法的問題も重要性を増す課題です。機密情報のAI投入問題については、基本的に機密指定情報はAI学習に使わない方針が推奨されますし、実務におけるAI利用の可否はクライアントとの合意及び契約に依存します。今後の整理・理解・管理が必要な分野となります。

4.インターネットデータに基づくAIの限界と対応策

さらに、今後は情報ソースの「偏り」が、新たな問題を生む可能性が高いです。LLMの基盤となっている情報にはSNS利用者層やメディアによるバイアスが存在し、偏り(ズレ)を内在しています。偽の調査やインチキに、容易に活用されるリスクです。そのため、実際の生活者像とAIが生成した生活者像の違いを、リサーチ設計で考慮する必要があります。
AIの有効活用を図るためには、リサーチ結果や外部データを組み合わせてLLMに内在しない知識(接続データとしてのリサーチ結果など)の追加や、その活用技術が必要となるのです。

5.自動化ツールでのAI活用例

現状理解と概念整理の後、自動化とAI活用の具体的事例として、アンド・ディ社の「ニーヨン(パッケージ型Webアンケート)」と、「Codist(自由回答の自動コード化)」、「質問紙調査専用AI-OCRシステム」が紹介されました。調査会社の現場ニーズに即した活用例になったと思われます。

6.質疑応答から

参加者から、「機密情報の取扱いと同様の観点で、調査データをAIに投入してよいのか、社内的な線引きに困っている」との質問が出されました。「国際的にも議論になっていて、2026年に改定されるISO 20252の中でも、今のところ透明性確保の観点から、クライアントの承諾がないと基本はダメ」ということになっている旨の回答がなされました。
アンケートからも、「最新の論点を確認できた」、「ここまでAIを活用されてサービス化を行っているのかと大変衝撃を受けました」、「自動化した方がいいのかよくないかのボーダーラインを、強く意識するようになった」といった感想が寄せられました。

※)リサーチ・イノベーション委員会では、今年度内にもう1回、本セミナーを実施予定です。また来年度には、「AI活用・リサーチャー基礎講座」のようなものを企画検討中です。引き続きご意見やイベントへのご参加をお願いいたします。

以上

エディタV2

 

2026.1.20掲載