― イノベーティブなリサーチャーを目指して
リサーチ・イノベーション委員会 担当理事 鈴木 文雄
With コロナの社会環境が続く中、あらゆる企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)は加速しています。市場調査業界においても、オフライン、オンラインの調査を問わず、生活者のインサイトを言語化・数値化・可視化していくことをソリューションとしたプロセスが主軸となる領域が、リサーチャーに求められています。これにより、インサイト産業に拡張・転換する産業構造が形成されつつあります。
リサーチ・イノベーション委員会では、市場調査業界が取り組んでいくビッグデータやAI・機械学習等に代表される先端技術の潮流・動向を捉え、今後のマーケティング・リサーチに活用していくために、JMRAの会員社はもちろん、クライアントとなる事業会社に所属するリサーチャーの皆さんも対象とした情報発信を行っています。
1.オンライン・コミュニティ「インサイト部」
直近では、オンラインでの情報交換、議論、告知等を実施するために、Slackを活用したオンライン・コミュニティ「インサイト部」を立ち上げ、JMRA会員社だけでなく、事業会社のマーケティング担当を含めたリサーチャーの交流の場作りを進めています。

2.今年度の活動実績
2022年は、会員社及びクライアントサイドの事業会社から公募した各委員により、ビッグデータやAIなど先端技術の潮流・動向をどのように捉えるべきか、どうマーケティング・リサーチ事業に活用していくのか、そのために求められる人材とは、などのテーマについて討議をしています。
2-1.ESOMAR・IMRD 2022イベント連携オンライン・ミニカンファレンス 2022(4月27日(水))
『インサイト産業界の立脚点を考える』
(1)Our New World(ESOMAR・IMRD連携企画)
(2)DEI調査結果に見る日本市場の特徴と課題
(3)持続可能な「No.1調査」のあるべき姿とは?
2-2.マハラノビス研究会
インドの統計学者マハラビノス氏の理論を応用した『座標軸に相関があるマッピング分析の研究』プロジェクトを、2022年6月~2023年2月(月1回)の予定で実施中。コーディネーターは朝野熙彦氏(元東京都立大学教授、リサーチ・イノベーション委員会委員)。
【研究する方法】
インドの統計学者マハラノビスは座標軸間の相関を考慮して距離を測る、という狙いで汎距離を提案した。品質工学の分野ではMT(マハラノビス・タグチ)法の中核をなす指標として近年着目されている。2000年以降MT法の適用実績と書籍が増えてきて、品質工学の重要な技法になりつつある。

今回のプロジェクト研究で想定される研究成果は次の通り。
①MT法を初歩から学びつつMT法が仮定する空間とマッピング空間の違いを理解する。
②汎距離で空間の任意の2点間の距離を測ることに理論的な根拠があるのか。
③多変量正規分布を仮定しない場合は、マハラノビスの汎距離をどう解釈できるのか。
④多重共線性への対処に余因子行列ではなく一般逆行列が使えないか。
⑤マーケティングではどのような目的とデータ構造の時にマハラノビスの汎距離が利用できるのか。
2-3.JMRAウェビナーシリーズ・『クライアントの取り組みを聞く』
(1)シリーズ第1弾:アマゾンジャパン様 (2022年8月23日)
テーマ:-インサイト機能の革新:"リサーチ"を超えて-
話し手:アマゾンジャパン合同会社 プリンシパル ヘッド オブ コンシューマーインテリジェンス
中野 佑香 氏
(2)シリーズ第2弾:ハルメクホールディングス様(2022年9月29日)
テーマ:インサイト機能の革新: 旧来の発想を超え、進化し続けるハルメク
話し手: 株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所所長 梅津 順江 氏
(3)シリーズ第3弾:キリンホールディングス様(2022年12月6日)
テーマ:-"リサーチ"を超えて-
話し手: キリンホールディングス株式会社 Kirin Well-being Design Lab シニア・フェロー
太田 恵理子 氏
掲載日
2022.12.20